Q.

私が書いた小説の一部が今度中学校の教科書に採用されましたが、少しむずかしい漢字は全てひらがなになっておりました。これは教科書という性格上やむを得ないのでしょうか。

 文章の著作権  | 関連用語: 著作者人格権 同一性保持権

A.

漢字をひらがなにすることが、学校教育の目的上やむを得ないと判断できる場合は、同一性保持権の侵害を主張できません。

著作権法では、著作者に無断で著作物の題名や内容を改変されない権利である同一性保持権を認めていますが、一方で、学校教育の目的上やむを得ない用字または用語の改変は権利侵害にならないと定めています(第20条第2項第1号)。

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用語の説明

著作者人格権
著作者の人格的な利益について、法律上の保護を図るものです。著作者人格権は、その性質上、著作者固有の権利として認められるものであり、他人に譲渡することができない「一身専属的な権利(第59条)」とされています。

著作者人格権には、公表権(第18条)、氏名表示権(第19条)、同一性保持権(第20条)がありますが、これらを侵害しない行為であっても、著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は、著作者人格権の侵害とみなされます(第113条第6項)。
同一性保持権
自分の著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で「改変」(変更・切除等)されない権利です(第20条)。

ただし、著作物の性質やその利用の目的・態様に照らしてやむを得ないと認められる場合は除かれます。例えば、印刷機の性能の問題で色がうまく出ないとか、「歌手の歌が下手」などという場合が、これに当たります。