Q.

わが社が開発したビジネスソフトがある団体で大量に複製され使用されていることが分かったのですが、この団体に対しわが社は著作権を主張できるのですか。

 プログラムの著作権  | 関連用語: 私的使用のための複製 複製権 プログラムの著作物の所有者による複製等

A.

主張できます。

コンピュータ・プログラムは著作物として著作権法で保護されていますので、著作権者の了解を得ないで、当該プログラムを複製すると原則として著作権侵害になります(第21条)。なお、個人的に使用するためやプログラムの所有者が自分で利用するために必要な範囲(バックアップ・コピーなど)で複製する場合(第30条、第47条の3)は、特例的に著作権者の了解は必要ないことになっていますが、質問のような団体で大量に複製するのはこの特例措置には該当しません。

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用語の説明

私的使用のための複製
著作権の制限規定の一つです(第30条)。

「テレビ番組を録画しておいて後日自分で見る場合」などのように、「家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用することを目的として、使用する本人が複製する場合」の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたりプリントアウトしたりすること(いずれも「複製」に該当する)にも、この例外は適用されます。また、学校の児童生徒などが本人の「学習」のために行う複製(コンピュータ、インターネット等の利用を含む)も、この例外の対象です。
【条件】
ア 家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用すること
イ 使用する本人が複製すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
ウ 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は、コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
エ コピーガードを解除して(又は解除されていることを知りつつ)複製するものでないこと
オ 著作権を侵害したインターネット配信と知りながら、音楽や映像をダウンロードするものでないこと

なお、政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器・媒体を用いてコピー(複製)する場合には、著作権者に「補償金」を支払う必要がありますが、これらの機器・媒体については、販売価格に「補償金」があらかじめ上乗せされていますので、利用者が改めて「補償金」を支払う必要はありません。
複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。

また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。
プログラムの著作物の所有者による複製等
著作権の制限規定の一つです(第47条の3)。 プログラムの著作物の所有者は、その滅失や毀損に備えてバックアップ・コピーを作成することや、プログラムの機能を向上させるためのバージョンアップ(翻案)を行うことができます。なお、滅失以外の理由で当該プログラムの著作物の所有権を失った場合(他人に譲渡した場合など)には、この規定の適用を受けて作成された複製物は、廃棄しなければなりません。