Q.

わが社の開発したビジネスソフトの海賊版が大量にある会社に納入され各従業員のパソコンで使用されていることがわかったのですが、その会社に対しわが社は著作権を主張できるのですか。

 プログラムの著作権  | 関連用語: 侵害とみなす行為

A.

その会社がソフトの納入を受けたときに、海賊版であることを知っていたのであれば主張できます。

著作権法では、海賊版コンピュータ・プログラムと承知の上で入手したものを、業務のためにコンピュータで使用する行為を、著作権侵害とみなすと規定しています(第113条第2項)。コンピュータ・プログラムを使用すること自体は、本を読んだりCDを聴いたりすることと同じように、本来は著作権が働く行為ではありませんが、コンピュータ・プログラムはコンピュータで使用することで経済的価値が生まれるという特別な性格の著作物であることから、質問のような特別な場合に限り、著作権侵害とみなすことにしたものです。なお、みなし侵害に該当すると、著作権侵害の場合と同様に、権利者は民事上、形事上の対抗措置が取れることになります。

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用語の説明

侵害とみなす行為
次のような行為は、直接的には著作権の侵害には該当しませんが、実質的には著作権の侵害と同等のものですので、法律によって「侵害とみなす」こととされています。

[1] 外国で作成された海賊版(権利者の了解を得ないで作成されたコピー)を国内において販売や配布する目的で「輸入」すること(第113条第1項第1号)。

[2] 海賊版を海賊版と知っていながら、「販売・配布・貸出」したりすること。販売・配布・貸与する目的で、「所持」すること、販売・配布・貸与をする旨の「申出」をすること、継続・反復して「輸出」すること、そして継続・反復して輸出する目的で「所持」することも対象となります(第113条第1項第2号)。

[3] 海賊版のコンピュータ・プログラムを会社のパソコンなどで「業務上使用」すること(使用する権原を得たときに海賊版と知っていた場合に限られます)(第113条第2項)。

[4] 著作物等に付された「権利管理情報」(「電子透かし」などにより著作物等に付されている著作物等、権利者、著作物等の利用条件などの情報)を不正に、付加、削除、変更すること。
また、権利管理情報が不正に付加等されているものを、そのことを知っていながら、販売したり送信したりすることも対象となります(第113条第3項)。

[5] 外国で販売されている国内で市販されているものと同一の市販用音楽CDなどを、輸入してはいけないことを知りつつ、国内で販売するために「輸入」し、「販売・配布」し、又はそのために「所持」すること(販売価格が安い国から輸入される音楽CDなどであること、また国内販売後7年を超えない範囲内で、政令で定める期間を経過する前に販売等されたものであること、などの要件を満たす場合に限られます)(第113条第5項)

[6] 著作者の「名誉・声望を害する方法」で、著作物を利用すること(第113条第6項)