Q.

私が駆け出しの建築家の頃設計した独創的な建物が、家主の意向で2部屋増築されることになりました。一応了解を求めてこられたのですが、私はNOとはいえないのでしょうか。

 建築の著作権  | 関連用語: 著作者人格権 同一性保持権

A.

建築家としてオリジナルのまま使って欲しいという気持ちがあろうかとは思いますが、著作権法では、「建築物の増築、改築、修繕または模様替えによる改変」の場合は例外的に同一性保持権の適用はないと定めていますので、仮に建築家に無断で建築物の増築が行われたとしても、原則的にはそれをやめさせることはできないと考えられます。(第20条第2項第2号)

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用語の説明

著作者人格権
著作者の人格的な利益について、法律上の保護を図るものです。著作者人格権は、その性質上、著作者固有の権利として認められるものであり、他人に譲渡することができない「一身専属的な権利(第59条)」とされています。

著作者人格権には、公表権(第18条)、氏名表示権(第19条)、同一性保持権(第20条)がありますが、これらを侵害しない行為であっても、著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は、著作者人格権の侵害とみなされます(第113条第6項)。
同一性保持権
自分の著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で「改変」(変更・切除等)されない権利です(第20条)。

ただし、著作物の性質やその利用の目的・態様に照らしてやむを得ないと認められる場合は除かれます。例えば、印刷機の性能の問題で色がうまく出ないとか、「歌手の歌が下手」などという場合が、これに当たります。