Q.

自分達がある演奏会で演奏したものが、無断でCDにされて売られていました。どのように対処したらよいですか。

 演劇の著作権  | 関連用語: 刑事上の対抗措置(1) 実演家 著作隣接権 民事の対抗措置

A.

著作権法では、演奏者は実演家として位置付けられ、著作隣接権で保護されています。実演家は、無断で自己の実演を録音録画されない権利を有していますから(第91条第1項)、無断利用者に対しては、損害賠償請求や差止請求(販売の中止等)といった民事上の対抗措置が可能です。また、刑事告訴も可能です。なお、演奏曲が自分たちのオリジナル等の場合は、無断利用者は、作詞家・作曲家としてのあなた方の著作権(複製権(第21条))を侵害していることにもなります。

用語の説明

刑事上の対抗措置(1)
著作権等の侵害は「犯罪行為」であり、権利者が「告訴」を行うことを前提として,「10年以下の懲役」又は「1000万円以下の罰金」(懲役と罰金の併科も可)という罰則規定が設けられています(第119条第1号)。また、企業などの法人等による侵害(著作者人格権や実演家人格権の侵害を除く)の場合には、「3億円以下の罰金」とされています。

この他、次のような行為についても、それぞれ刑事上の罰則が定められています。

ア 営利を目的として、「公衆向けのダビング機」を設置し、音楽CDのコピーなど(著作権の侵害となること)に使用させること(第119条第2項第2号)。
→ 「5年以下の懲役」又は「500万円以下の罰金」(懲役と罰金の併科も可)(親告罪)
イ 小説などの原作者(著作者)が亡くなった後に、その小説の内容を勝手に変えてしまったり、原作者名を変えてしまうこと(第120条)。
→ 500万円以下の罰金(非親告罪)
実演家
実演を行った者(俳優、舞踊家、歌手など)、実演を指揮した者又は実演を演出した者をいいます(第2条第1項第4号)。
著作隣接権
著作物等を「伝達する者」(実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者)に付与される権利です。著作隣接権は、実演等を行った時点で「自動的」に付与されるので、登録等は不要です(無方式主義)。

こうした「伝達」は様々な形態で行われていますが、条約の規定や諸外国の著作権法では、多くの場合「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」の三者が、著作隣接権を持つ主体とされています。しかし、日本の著作権法はこれよりも保護が厚く、「有線放送事業者」にも著作隣接権を付与しています。
民事の対抗措置
[1] 損害賠償請求
故意又は過失により他人の権利を侵害した者に対して、侵害を被った者は、侵害による損害の賠償を請求することができます(民法第709条)。侵害を被った者は損害の額を立証しなければなりませんが、その負担を軽減するために、損害額の算定方法に関する規定や、損害額推定規定、権利者が受けるべき使用料の額に相当する額を損害額として請求できることを定めた規定等が設けられています(第114条)。

[2] 差止請求
著作権の侵害を受けた者は、侵害をした者に対して、「侵害行為の停止」を求めることができます。また、侵害のおそれがある場合には、「予防措置」を求めることができます(第112条、第116条)。

[3] 不当利得返還請求
他人の権利を侵害することにより、利益を受けた者に対して、侵害を被った者は、侵害者が侵害の事実を知らなかった場合には、「その利益が残っている範囲での額」を、知っていた場合には、「利益に利息を付した額」を、それぞれ請求することができます(民法第703条、第704条)。
例えば、自分で創作した物語を無断で出版された場合、その行為者に故意又は過失がなくても、その出版物の売上分などの返還を請求できます。

[4] 名誉回復等の措置の請求
著作者又は実演家は、侵害者に対して、著作者等としての「名誉・声望を回復するための措置」を請求することができます(第115条、第116条)。
例えば、小説を無断で改ざんして出版されたような場合、新聞紙上などに謝罪文を掲載させるなどの措置がこれに当たります。