Q.

著名人の依頼でゴーストライターが書いた作品を著名人の名前で出版した場合、著作者は誰になるのですか。

 文章の著作権  | 関連用語: 著作者の推定 著作者名詐称の罪

A.

反証がない限り、公表の際に著作者として表示された者(この場合著名人)が著作者として扱われます(第14条)。本当は、著作物を創作する者が著作者ですから、作品を創作したゴーストライターが著作者なのですが、著作物に著作者名として通常の方法で表示されている者は著作者と推定すると定められていますので、こういう結論になります。

なお、著作者でない人の名前で著作物の複製物を頒布した者は、世人を欺く詐欺的行為として、著作者名詐称の罪で罰せられる場合があります(第121条)が、質問の場合は、著名人とゴーストライターの合意の下に、著名人からの情報の提供や内容のチェックを経て作品が作られていると思われるので、この罪に問われる可能性は低いのではないかと考えられます。

用語の説明

著作者の推定
著作者が誰であるかについての立証を容易にするため、著作権法では、著作物の原作品(例 絵画、彫刻)に、又は著作物を公衆に提供・提示した際(例 出版物の販売)に、氏名・名称などが表示されている者を、この著作物の著作者と推定すると規定しています(第14条) 著作者と推定されることにより、相手方が反証をしなければ、表示者が著作者として取り扱われることになります。
著作者名詐称の罪
著作者名を偽って著作物の複製物を頒布する行為は、著作権法第121条により犯罪となっており、罰則の対象となります。
これは、世人を欺く詐欺的行為の防止の見地、及びこれに付随して著作名義者の人格的利益の保護の見地からによるものです。