他人が創作した著作物を自分が創作したものとして氏名表示する場合は、その他人(真の著作者)の氏名表示権(第19条)を侵害する行為となります。このような行為に対して、真の著作者は、出版の差し止めや損害賠償(慰謝料)、場合によっては名誉回復等の措置(謝罪文の提出や謝罪広告などの請求)をすることができます。また、著作者ではない人の名前で著作物の複製物を頒布することは、世間を欺き、社会に混乱を生じさせるおそれがあることから、著作者人格権侵害とは別に、著作者名詐称の罪(第121条)で罰せられる場合があります。
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用語の説明
- 氏名表示権
- 著作者人格権又は実演家人格権の一つです(第19条、第90条の2)。
著作者人格権の場合は、自分の著作物を公表する時に、著作者名を表示するかしないか、表示するとすれば「実名」(本名)か「変名」(ペンネーム等)かなどを決定できる権利です(第19条)。
ただし、著作物の利用目的や態様に照らして、著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、著作者名の表示を省略することができます。例えば、ホテルのロビーでBGMを流している場合に、いちいち作曲者名をアナウンスする必要はありません。
なお、実演家人格権は、平成14(2002)年の改正で創設された権利ですが、氏名表示権の内容については基本的に著作者人格権のそれと同様の権利です。 - 著作者人格権
- 著作者の人格的な利益について、法律上の保護を図るものです。著作者人格権は、その性質上、著作者固有の権利として認められるものであり、他人に譲渡することができない「一身専属的な権利(第59条)」とされています。
著作者人格権には、公表権(第18条)、氏名表示権(第19条)、同一性保持権(第20条)がありますが、これらを侵害しない行為であっても、著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は、著作者人格権の侵害とみなされます(第113条第6項)。