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著作者人格権は、著作者の生存間だけ認められた権利ですが、著作者の死後も著作者の人格的利益については、一定の保護が図られることになっています。

人格とは、その人個人の固有のものですから、著作権法は著作者人格権は著作者の一身に専属し譲渡できないと定めています(第59条)。この意味では、著作者人格権は著作者の死亡とともに消滅することになりますが、だからといって作品の内容を勝手に変更されたり、著作者名を変えられたり、日記を公開されたりすることは問題です。このため著作権法は、著作者の人格的利益を保護するため、死後であっても、一定の条件付ながら、もし生存しているとしたならば人格権の侵害となるような行為をしてはならないと定めています(第60条)。人格的利益が損なわれた場合の救済ですが、遺族は、孫の代まで、侵害行為の差し止めや損害賠償などの民事的な措置を求めることができます(第116条)。また、そのような侵害行為を犯罪として罰則も定めています(第120条)。

用語の説明

著作者が存しなくなった後における人格的利益の保護
著作者人格権は著作者の死亡(法人の場合は解散)とともに消滅します(第59条)。しかし、著作者が死亡してしまうと、日記を公表したり、氏名を変えたり、内容を改変することが自由に出来てしまっては問題がありますので、著作者が死亡等により存しなくなった後であっても、仮に著作者が存しているとしたら著作者人格権の侵害となるような行為を行うことを禁じています(第60条)。なお、第60条違反について、一定の遺族は差し止め等の民事的な対抗手段が可能です(第116条)。また、罰則の適用もあります(第120条)。
著作者人格権の一身専属性
「著作者人格権」は、著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利であり、創作者としての心情を守るためのものであることから、これを譲渡したり、相続したりすることはできないこととされています (第59条)。
著作者又は実演家の死後における人格的利益の保護のための措置
著作者人格権及び実演家人格権は、著作者及び実演家の一身に専属する権利で、権利そのものは著作者等の死亡と同時に消滅します(第59条、第101条の2)が、著作者、実演家の死後においても、生存していたとすれば著作者人格権及び実演家人格権の侵害となるべき行為を行うことを禁じています(第60条、第101条の3)。そして、死後の人格的利益が犯された場合、一定の遺族は、違反行為の形態に応じ、差止請求(第112条)又は名誉回復等の措置(第115条)を請求できます。なお、死後の人格的利益を犯した者は、別途罰則の対象になります(第120条)。
罰則
刑罰又は行政罰を定めた法律の規定を罰則と言います。

著作権法は、第8章(第119条-第124条)に罰則を規定しており、権利侵害者等に対しては、原則として刑事罰が科せられます。