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広義の著作権のうち、著作者人格権は人格権の性格上、著作者の生存間の権利であり、著作者の死亡により権利は消滅しますが(第59条)、著作者の死後も著作者の人格的利益として事実上保護されています(第60条)。一方財産権としての著作権は、原則として著作者の生存間及び死後50年間保護されますが、この期間を過ぎると権利は消滅し、利用者は自由に著作物を利用できることになっています。このように著作権の保護が限られているのは、著作者に一定の経済的な報酬を保障した後は、自由に利用できるようにして、さらに新しい著作物の創作を促すためです。なお、死後起算が適当でない無名・変名の著作物、団体名義の著作物は、公表された時から50年間、映画の著作物は公表された時から70年間となっています。なお、保護期間については特例が多いので注意が必要です。

用語の説明

映画の著作物
映画館で上映される「劇映画」が典型的なものですが、著作権法では、「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含む」と定義し(第2条第3項)、映画の概念を広く捉えています。映画の著作物の例としては、例えば、テレビドラマ、コマーシャルフィルム、ホームビデオで撮影した影像なども、これに含まれます。また、判例により、ゲームソフトの映像部分も映画の著作物と取り扱われています。
実名の著作物
実名の著作物とは、著作者の本名で公表された著作物という意味です。
団体名義の著作物の保護期間
著作権の保護期間は、原則として著作者の死後50年までですが、死後起算が出来ない又は不適当な著作物については、公表後起算になっています。団体名義の著作物というのは、法人が著作者かどうかにかかわらず、著作者名義が団体名義であるものをいいますが、外形的には著作者が団体であることから死後起算にはなじまないので、公表後50年まで保護されることになっています(第53条)。なお、創作後50年以内に公表されなかったときは、創作後50年となっています。
著作者人格権
著作者の人格的な利益について、法律上の保護を図るものです。著作者人格権は、その性質上、著作者固有の権利として認められるものであり、他人に譲渡することができない「一身専属的な権利(第59条)」とされています。

著作者人格権には、公表権(第18条)、氏名表示権(第19条)、同一性保持権(第20条)がありますが、これらを侵害しない行為であっても、著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は、著作者人格権の侵害とみなされます(第113条第6項)。
変名の著作物
著作物の公表に当たり、著作者の本名以外の雅号、筆名、略称等の本名に代えて用いられるものが付されているもののことを言います。なお、これらの変名であっても、広く一般に周知され変名であって本人が特定される場合は周知の変名として、実名(本名)の著作物と同様の取り扱いがされています(例えば、変名の著作物の保護期間は、公表後50年ですが、周知の変名については、実名の著作物と同じ死後50年まで保護されます)。
保護期間
著作権や著作隣接権などの著作権法上の権利には一定の存続期間が定められており、この期間を「保護期間」といいます。

これは、著作者等に権利を認め保護することが大切である一方、一定期間が経過した著作物等については、その権利を消滅させることにより、社会全体の共有財産として自由に利用できるようにすべきであると考えられたためです。

[1] 「著作者人格権」及び「実演家人格権」の保護期間

「著作者人格権」等は一身専属の権利とされているため (第59条、第101条の2)、著作者等が死亡 (法人の場合は解散) すれば権利も消滅することとなります。 つまり、保護期間は著作者の「生存している期間」です。 しかし、著作者の死後 (法人の解散後) においても、原則として、著作者人格権等の侵害となるべき行為をしてはならないこととされています (第60条、第101条の3)。

[2] 「著作権及び著作隣接権(財産権)」の保護期間

ア 著作権
「著作権(財産権)」の保護期間は、著作者が著作物を創作したときに始まり、原則として著作者の生存している期間及び死後50年間です (第51条)。しかし、死後起算が出来ない又は適当でない著作物については、公表起算になっています。具体的には、無名又は変名(一般によく知られている周知の変名を除く)の著作物及び団体名義の著作物は公表後50年まで、映画の著作物は公表後70年まで保護されます(第52条、第53条、第54条)。

イ 著作隣接権(報酬請求権も含む)
実演、レコード、放送及び有線放送については、実演を行ったとき、レコードを最初に発行したとき(発行されなかったときは、固定[録音]後)、放送及び有線放送を行ったときから50年まで保護されます。

*なお、保護期間の計算は暦年計算で、死亡、公表等した年の翌年の1月1日から起算します。例えば、2005年2月1日に著作者が死亡した場合は、2005に50を加えた2055年の12月31日まで保護されるということです。
無名の著作物
著作物が公表された際に著作者名の表示がない著作物のことをいいます。