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映画を除いて、文芸、音楽、美術等の著作物の種類に関係なく、本名(実名)が付された著作物(ペンネーム等(変名)ではあるが一般によく知られている周知の変名を含む)の保護期間は、著作物の創作から著作者の死後50年までです(期間の計算は暦年計算)。これを原則的保護期間と呼んでいます。例外的保護期間として、無名又は変名の著作物は公表後50年まで(死後50年経過していることが明らかな場合は死後50年経過時まで)、また団体名義の著作物は公表後50年(創作後50年以内に公表されなければ創作後50年)となっています。更に映画の著作物は公表後70年(創作後70年以内に公表されなければ創作後70年)です。

なお、保護期間については、旧法から現行法に代わったときの調整措置や、写真と映画については、現行法に代わってから保護期間の延長措置がとられていますのでその際の調整措置、また、外国人については、戦時加算等の特例措置など、多くの特例が存在しますので、注意してください。

用語の説明

映画の著作物の保護期間
映画の著作物の保護期間は、公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年)です(第54条)。また、期間の計算は暦年計算で、公表された年の翌年の1月1日から起算します。例えば2004年1月12日に公開された映画の保護期間は、2004年に70年を加えた2074年12月31日までということになります。なお、映画の著作物は、旧著作権法の時代から現在にいたるまで、数回保護期間を延長しております(最新改正、平成16(2004)年1月から、公表後50年から公表後70年に延長)。保護期間が延長される際に、延長前に既に著作権が消滅していると著作権は復活しないという調整措置が行われているので、保護期間の計算には注意が必要です。
旧法の保護期間等との調整
旧著作権法と現行著作権法では、例えば旧著作権法では原則的保護期間が死後30年(暫定延長の結果最終的には実名の著作物は死後38年まで延長)までだったのが、現行著作権法では死後50年に延長されたなど著作物の種類等にもよりますが、著作物の保護期間が大きく異なっています。そのため、現行著作権法の施行時(昭和46年(1971年)1月1日)に、旧著作権法の下で著作権が消滅している著作物の著作権は復活しないこと(附則第2条)、旧著作権法の下で創作された著作物の保護期間が現行著作権法による保護期間より長い場合は旧著作権法の保護期間による(附則第7条)こととの調整措置がおかれました。また、例えば映画の著作物のように、現行著作権法施行後に保護期間が延長されたもの(平成16(2004)年1月1日に公表後50年までから公表後70年までに延長)も、基本的には同様の措置を講じています。

そのため、特に旧著作権法の下で創作された著作物については、外国人の著作物に適用がある戦時加算も含め、注意が必要です。なお、具体的には、文化庁ホームページに掲載している「著作権テキスト」の4(4)保護期間の最後にある「[参考1]旧著作権法下における著作権の保護期間について」を参照してください。
戦時加算
太平洋戦争後、我が国と連合国が締結したサンフランシスコ平和条約に基づく、保護期間の特例です。条約関係にある連合国の国民が第二次世界大戦前又は大戦中に取得した著作権については、戦争期間中我が国が連合国民の著作権を保護していなかったという前提のもとに、通常の保護期間に戦争期間(昭和16年(1941年)12月8日又は著作権を取得した日から平和条約の発効する日の前日までの実日数(パキスタン1,393日、ニュージーランド1,607日、レバノン2,291日、アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダ・スリランカ(セイロン)・フランス:3,794日、ブラジル:3,816日、オランダ:3,844日、ノルウェー:3,846日、ベルギー:3,910日、南アフリカ:3,929日、ルクセンブルク4,111日、ギリシャ:4,180日))を加算することとなっています(連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律第4条)。なお、この戦時加算は、中立国(スイス、スウェーデン等)、枢軸国(ドイツ、イタリア)には適用はありません。
団体名義の著作物の保護期間
著作権の保護期間は、原則として著作者の死後50年までですが、死後起算が出来ない又は不適当な著作物については、公表後起算になっています。団体名義の著作物というのは、法人が著作者かどうかにかかわらず、著作者名義が団体名義であるものをいいますが、外形的には著作者が団体であることから死後起算にはなじまないので、公表後50年まで保護されることになっています(第53条)。なお、創作後50年以内に公表されなかったときは、創作後50年となっています。
保護期間の計算方法
計算方法を簡単にするため、すべての期間は、死亡、公表、創作した年の「翌年の1月1日」から起算します(第57条)。 例えば、手塚治虫さんの著作物は、手塚さんが平成元年 (1989年) に亡くなられましたから、1989に50を加えた2039年の12月31日まで保護されることになります。なお、著作隣接権の場合も同様です。
無名又は変名の著作物の保護期間
著作物の原則的保護期間は、著作者の死後50年までですが、無名又は変名(雅号、筆名、略称等)の著作物については、著作者の特定が出来ないため、公表後50年(死後50年経過が明らかであれば、その時点まで)までです(第52条)。ただし、変名の場合であっても、広く一般に周知されて名前と顔が一致するような変名の場合は原則に戻って死後50年まで保護されます。また、保護期間中に、実名の登録(第75条)が行われた場合や改めて実名で公表し直した場合についても原則に戻ります(第52条第2項)。