必ずしもそうとは言えません。著作権の保護期間は著作者の生存間及び死後50年間が原則ですが、無名や一般に知られていないペンネーム等の変名で公表された著作物や著作者名義が団体である著作物などについては、死後起算が不適当であるとして、公表後50年間保護されることになっています(第51条、第52条、第53条)。新聞紙の発行というのは、著作権法上一般に著作物の公表のことを意味します。新聞社の従業員である記者の記事やカメラマンの写真は、多くの場合、新聞社という団体が著作者名義であると考えられますので、質問のとおり公表(発行)後50年で保護期間は満了しますが、新聞には著作者の本名(実名)や一般の人に知られているペンネーム等の周知の変名を付して公表された著作物も多く、このようなものについては、著作者の死後50年間保護されるので、新聞の発行後50年以上経っていても、まだ著作権が存続している場合があります。
用語の説明
- 公表
- 著作権法上の公表概念は、社会通念の公表とは少し異なっており、著作物が、権利者の了解の下に、発行され、又は上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に提示された場合を言います(第4条)。したがって、権利者に無断で出版された場合は例え何万部が市場に配布されているとしても公表されたことになりません。また、公表は基本的には著作権が及ぶ利用形態によって公衆に提示・提供される必要がありますので、小説の原稿を誰でも読めるところに置いておいても公表とはいいません(展示権は美術と写真の著作物に限られた権利です)。
- 実名の著作物
- 実名の著作物とは、著作者の本名で公表された著作物という意味です。
- 団体名義の著作物の保護期間
- 著作権の保護期間は、原則として著作者の死後50年までですが、死後起算が出来ない又は不適当な著作物については、公表後起算になっています。団体名義の著作物というのは、法人が著作者かどうかにかかわらず、著作者名義が団体名義であるものをいいますが、外形的には著作者が団体であることから死後起算にはなじまないので、公表後50年まで保護されることになっています(第53条)。なお、創作後50年以内に公表されなかったときは、創作後50年となっています。
- 発行
- 著作権者又はその了解を得た者等により、著作物の複製物(例えば音楽CD、映画のビデオテープ、本など)が、その性質に応じて公衆の要求を満たすことができる相当程度部数作成され、頒布された場合を、「発行」と定義しています(第3条)。なお、著作権法上の発行は、適法に行われることが条件ですので、例えば海賊版が何万部も世の中に出回っていても、正規品が流通していない状態であれば、未発行ということになります。
- 変名の著作物
- 著作物の公表に当たり、著作者の本名以外の雅号、筆名、略称等の本名に代えて用いられるものが付されているもののことを言います。なお、これらの変名であっても、広く一般に周知され変名であって本人が特定される場合は周知の変名として、実名(本名)の著作物と同様の取り扱いがされています(例えば、変名の著作物の保護期間は、公表後50年ですが、周知の変名については、実名の著作物と同じ死後50年まで保護されます)。
- 保護期間
- 著作権や著作隣接権などの著作権法上の権利には一定の存続期間が定められており、この期間を「保護期間」といいます。
これは、著作者等に権利を認め保護することが大切である一方、一定期間が経過した著作物等については、その権利を消滅させることにより、社会全体の共有財産として自由に利用できるようにすべきであると考えられたためです。
[1] 「著作者人格権」及び「実演家人格権」の保護期間
「著作者人格権」等は一身専属の権利とされているため (第59条、第101条の2)、著作者等が死亡 (法人の場合は解散) すれば権利も消滅することとなります。 つまり、保護期間は著作者の「生存している期間」です。 しかし、著作者の死後 (法人の解散後) においても、原則として、著作者人格権等の侵害となるべき行為をしてはならないこととされています (第60条、第101条の3)。
[2] 「著作権及び著作隣接権(財産権)」の保護期間
ア 著作権
「著作権(財産権)」の保護期間は、著作者が著作物を創作したときに始まり、原則として著作者の生存している期間及び死後50年間です (第51条)。しかし、死後起算が出来ない又は適当でない著作物については、公表起算になっています。具体的には、無名又は変名(一般によく知られている周知の変名を除く)の著作物及び団体名義の著作物は公表後50年まで、映画の著作物は公表後70年まで保護されます(第52条、第53条、第54条)。
イ 著作隣接権(報酬請求権も含む)
実演、レコード、放送及び有線放送については、実演を行ったとき、レコードを最初に発行したとき(発行されなかったときは、固定[録音]後)、放送及び有線放送を行ったときから50年まで保護されます。
*なお、保護期間の計算は暦年計算で、死亡、公表等した年の翌年の1月1日から起算します。例えば、2005年2月1日に著作者が死亡した場合は、2005に50を加えた2055年の12月31日まで保護されるということです。