Q.

逐次刊行物について、保護期間の起算点となる公表の時点はどのようになるのですか。

 著作物の出版  | 関連用語: 継続的刊行物等の公表の時 団体名義の著作物の保護期間 保護期間の計算方法 無名又は変名の著作物の保護期間

A.

団体名義や無名又はペンネーム等(変名)の著作物の保護期間は公表の時から起算しますが、これらの著作物の場合、日刊、週刊、月刊などの逐次刊行物(継続的刊行物)に掲載された個々の著作物や逐次刊行物自体である編集著作物の保護期間の起算点は、原則として毎号、毎冊、毎回の公表のときによります。しかし、例えば、連載小説のように一部分ずつを逐次公表して完成する著作物は、最終の部分をもって公表のときとすると定められています。なお、何らかの事情により、最終部分が公表されずに連載が終わってしまうこともありますが、3年たっても続きの部分が公表されないときは、すでに公表済みの最終部分の公表時とすることになっています。なお、逐次刊行物であっても、実名または広く知られたペンネーム等(周知の変名)で公表するものは、著作者の死後50年まで保護されるのは言うまでもありません。

用語の説明

継続的刊行物等の公表の時
新聞・雑誌等の継続的刊行物 (定期刊行物など) に掲載された著作物についても、原則として保護期間は著作者の「死後50年」までですが、「無名・変名」の著作物の場合のように、保護期間が「公表後50年」とされるものについては、公表時点をいつにするか問題が生じます。これについては、以下のようになります (第56条)。

○著作物の一部分ずつが発行され、一定期間内に完成されるもの(連載小説など)
最終部分が公表されたときから50年
ただし、継続すべき部分が直近の公表の時から3年を経過しても公表されないときは、既に公表されたもののうち最終の部分が公表された時から50年

○上記以外のもの
各号・各冊の公表の時から50年
団体名義の著作物の保護期間
著作権の保護期間は、原則として著作者の死後50年までですが、死後起算が出来ない又は不適当な著作物については、公表後起算になっています。団体名義の著作物というのは、法人が著作者かどうかにかかわらず、著作者名義が団体名義であるものをいいますが、外形的には著作者が団体であることから死後起算にはなじまないので、公表後50年まで保護されることになっています(第53条)。なお、創作後50年以内に公表されなかったときは、創作後50年となっています。
保護期間の計算方法
計算方法を簡単にするため、すべての期間は、死亡、公表、創作した年の「翌年の1月1日」から起算します(第57条)。 例えば、手塚治虫さんの著作物は、手塚さんが平成元年 (1989年) に亡くなられましたから、1989に50を加えた2039年の12月31日まで保護されることになります。なお、著作隣接権の場合も同様です。
無名又は変名の著作物の保護期間
著作物の原則的保護期間は、著作者の死後50年までですが、無名又は変名(雅号、筆名、略称等)の著作物については、著作者の特定が出来ないため、公表後50年(死後50年経過が明らかであれば、その時点まで)までです(第52条)。ただし、変名の場合であっても、広く一般に周知されて名前と顔が一致するような変名の場合は原則に戻って死後50年まで保護されます。また、保護期間中に、実名の登録(第75条)が行われた場合や改めて実名で公表し直した場合についても原則に戻ります(第52条第2項)。