Q.

無名又は変名で公表した著作物の保護期間の考え方について教えてください。

 著作権の汎用的な質問  | 関連用語: 実名の登録 保護期間の計算方法 無名又は変名の著作物の保護期間

A.

著作権の原則的保護期間は著作者の死後50年までですが、無名又はペンネーム等(変名)で公表された著作物については、実人物が特定できず、保護期間の起算点となる死亡の年が確認できないので、例外的に公表後50年までとなります。なお、公表後50年が経過する前であっても、著作者の死後50年が経過したと判明した場合は、著作者の死後50年経過した年に遡って著作権が消滅することになります。

なお、例えば小説家のペンネームのように一般の人が周知のペンネームの場合は、実人物が特定できますので、原則に戻り、実名の著作物と同じ扱いで、著作者の死後50年まで保護されます。また、公表後50年までの間に、実名の登録(第75条)が行われたとき、改めて本名(実名)を付して公表しなおしたときも、原則に戻り、著作者の死後50年まで保護されます。

用語の説明

実名の登録
無名又は変名(ペンネーム等)で公表された著作物の著作者が、その実名(本名)を公示するために登録を受ける制度です(第75条第1項)。登録を受けた者は、当該著作物の著作者と推定されます(第75条第3項)。その結果、著作権の保護期間が公表後50年間から、実名で公表された著作物と同じように、著作者(登録を受けた者)の死後50年間となります。
保護期間の計算方法
計算方法を簡単にするため、すべての期間は、死亡、公表、創作した年の「翌年の1月1日」から起算します(第57条)。 例えば、手塚治虫さんの著作物は、手塚さんが平成元年 (1989年) に亡くなられましたから、1989に50を加えた2039年の12月31日まで保護されることになります。なお、著作隣接権の場合も同様です。
無名又は変名の著作物の保護期間
著作物の原則的保護期間は、著作者の死後50年までですが、無名又は変名(雅号、筆名、略称等)の著作物については、著作者の特定が出来ないため、公表後50年(死後50年経過が明らかであれば、その時点まで)までです(第52条)。ただし、変名の場合であっても、広く一般に周知されて名前と顔が一致するような変名の場合は原則に戻って死後50年まで保護されます。また、保護期間中に、実名の登録(第75条)が行われた場合や改めて実名で公表し直した場合についても原則に戻ります(第52条第2項)。