Q.

中国は1992年にベルヌ条約に加入しましたが、中国人である私が中国で1990年に中国語で出版した小説は、日本で保護されますか。

 文章の著作権  | 関連用語: 遡及効

A.

保護されます。

ベルヌ条約は、条約の効力発生時に著作物の本国で保護期間の満了により公有のものとなった著作物以外のすべての著作物に適用されることを条約上の義務としています(遡及効)。したがって、中国がベルヌ条約に加盟してその効力が生じた1992年10月以前に創作又は発行した中国人の著作物についても、保護期間が満了していない限り日本でも保護されることになります。

用語の説明

遡及効
一般的には、法律の効力が当該法律の施行前に生じた事実にまで及ぶことを意味します。著作権又は著作隣接権に関する国際条約は、条約の種類により、遡及を原則としているものとそうでないものに分かれます。例えば、著作権の基本条約であるベルヌ条約は、遡及を原則としており、条約の発効前に創作された著作物であっても、条約の発効時に保護期間の満了等により著作権が消滅していない限り、保護する必要があることになっています。著作権に関する知的所有権機関条約、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約、TRIPS協定及び視聴覚実演に関する北京条約がこのタイプです。一方、条約の発効後に創作された著作物等についてのみ保護するという不遡及を原則としている条約は、万国著作権条約、実演家等保護条約(ローマ条約)及びレコード保護条約があります。