Q.

有名な外国の画家の作品を広告に利用したいのですが、没後50年経っているので、無断で利用することができますか。

 絵の著作権  | 関連用語: 国際著作権条約 戦時加算 保護期間 連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律

A.

戦時加算の特例の適用のある作品の場合は、無断で利用できない可能性があります。外国人の著作物を日本国内で利用する場合は、国際著作権条約のルールに基づき、原則として日本の著作権法で規定された保護期間以上保護する必要はありませんので、原則的には著作者の死後50年経った著作物は自由に利用できます。しかし、第二次世界大戦で日本と戦った連合国(16ヵ国)の国民が、当該大戦前又は大戦中に取得した著作権については、通常の保護期間に戦争期間(S16.12.8又は著作権を取得した日からサンフランシスコ平和条約の発効する日の前日までの実日数(例えば、米国、英国ー3794日、オランダ3844日)を加算することになっている(戦時加算)ので、戦時加算の可能性がある著作物については注意が必要です。

用語の説明

国際著作権条約
著作権及び著作隣接権に関する国際条約を総称していいます。

具体的には、ベルヌ条約、万国著作権条約、実演家等保護条約(ローマ条約)、レコード保護条約、TRIPS協定、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約)、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約)、視覚的実演に関する北京条約があります。
戦時加算
太平洋戦争後、我が国と連合国が締結したサンフランシスコ平和条約に基づく、保護期間の特例です。条約関係にある連合国の国民が第二次世界大戦前又は大戦中に取得した著作権については、戦争期間中我が国が連合国民の著作権を保護していなかったという前提のもとに、通常の保護期間に戦争期間(昭和16年(1941年)12月8日又は著作権を取得した日から平和条約の発効する日の前日までの実日数(パキスタン1,393日、ニュージーランド1,607日、レバノン2,291日、アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダ・スリランカ(セイロン)・フランス:3,794日、ブラジル:3,816日、オランダ:3,844日、ノルウェー:3,846日、ベルギー:3,910日、南アフリカ:3,929日、ルクセンブルク4,111日、ギリシャ:4,180日))を加算することとなっています(連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律第4条)。なお、この戦時加算は、中立国(スイス、スウェーデン等)、枢軸国(ドイツ、イタリア)には適用はありません。
保護期間
著作権や著作隣接権などの著作権法上の権利には一定の存続期間が定められており、この期間を「保護期間」といいます。

これは、著作者等に権利を認め保護することが大切である一方、一定期間が経過した著作物等については、その権利を消滅させることにより、社会全体の共有財産として自由に利用できるようにすべきであると考えられたためです。

[1] 「著作者人格権」及び「実演家人格権」の保護期間

「著作者人格権」等は一身専属の権利とされているため (第59条、第101条の2)、著作者等が死亡 (法人の場合は解散) すれば権利も消滅することとなります。 つまり、保護期間は著作者の「生存している期間」です。 しかし、著作者の死後 (法人の解散後) においても、原則として、著作者人格権等の侵害となるべき行為をしてはならないこととされています (第60条、第101条の3)。

[2] 「著作権及び著作隣接権(財産権)」の保護期間

ア 著作権
「著作権(財産権)」の保護期間は、著作者が著作物を創作したときに始まり、原則として著作者の生存している期間及び死後50年間です (第51条)。しかし、死後起算が出来ない又は適当でない著作物については、公表起算になっています。具体的には、無名又は変名(一般によく知られている周知の変名を除く)の著作物及び団体名義の著作物は公表後50年まで、映画の著作物は公表後70年まで保護されます(第52条、第53条、第54条)。

イ 著作隣接権(報酬請求権も含む)
実演、レコード、放送及び有線放送については、実演を行ったとき、レコードを最初に発行したとき(発行されなかったときは、固定[録音]後)、放送及び有線放送を行ったときから50年まで保護されます。

*なお、保護期間の計算は暦年計算で、死亡、公表等した年の翌年の1月1日から起算します。例えば、2005年2月1日に著作者が死亡した場合は、2005に50を加えた2055年の12月31日まで保護されるということです。
連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律
太平洋戦争後、我が国と連合国で締結されたサンフランシスコ平和条約第15条(c)の規定に基づき、連合国と連合国民に関する著作権の取り扱いの特例を定めた法律です。第4条に、戦時加算の規定があります。