Q.

ある作品に著作権があるかないかを知るにはどのようにしたらよいのですか。

 著作権の汎用的な質問  | 関連用語: 国際著作権条約 著作物 保護期間

A.

小説、脚本、論文、作文、講演、音楽、絵画、彫刻、デザイン、漫画、芸術性のある建築物、地図、図形、映画、写真、プログラム・ソフト、それに新聞・雑誌・辞書・事典のような編集物、データベースなどの創作性のある表現物はおおむね著作物です。外国の著作物も、国際条約により、大部分の国の国民の著作物やそれらの国で最初に発行された著作物は我が国で保護されます。また、保護期間が過ぎているかどうかですが、原則的保護期間が著作者の死後50年までという長い期間ですので、利用価値がある作品の多くは著作権がまだあると考えた方がよいでしょう。

用語の説明

国際著作権条約
著作権及び著作隣接権に関する国際条約を総称していいます。

具体的には、ベルヌ条約、万国著作権条約、実演家等保護条約(ローマ条約)、レコード保護条約、TRIPS協定、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約)、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約)、視覚的実演に関する北京条約があります。
著作物
「著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は、著作権法では、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています(第2条第1項第1号)。

具体的にどのようなものが著作物であるのかは、第10条に例示されています。

しかし、これらはあくまでも例示であって、著作物はこれだけに限りません。先に述べた定義にあてはまるもの、すなわち、以下の条件をすべて満たすものは、表に掲げられていないものであっても、著作物に該当することになります。定義の解釈は次のとおりです。

(a)「思想又は感情」を
(b)「創作的」に
(c)「表現したもの」であって、
(d)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの

(a)の条件によって、「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」など(人の思想や感情を伴わないもの)が著作物から除かれます。

(b)の条件によって、他人の作品の「模倣品」など(創作が加わっていないもの)が著作物から除かれます。また、「ありふれたもの」(誰が表現しても同じようなものになるもの)も創作性があるとはいえません。

(c)の条件によって、「アイディア」など(表現されていないもの)が著作物から除かれます(ただし、アイディアを解説した「文章」は表現されているため著作物になり得ます)。

(d)の条件によって、「工業製品」などが、著作物から除かれます。

(注) 「特許権」は「アイディア」を保護し、「著作権」は「表現」を保護しています。このため、例えば、ある「薬」の製法について特許権が付与されている場合、1) その製法に従って、その薬を「製造・販売」すること(アイディアの利用)は、特許権の侵害となり、2) その製法を書いた「論文をコピー」すること(表現の利用)は、「著作権」の侵害になります。
保護期間
著作権や著作隣接権などの著作権法上の権利には一定の存続期間が定められており、この期間を「保護期間」といいます。

これは、著作者等に権利を認め保護することが大切である一方、一定期間が経過した著作物等については、その権利を消滅させることにより、社会全体の共有財産として自由に利用できるようにすべきであると考えられたためです。

[1] 「著作者人格権」及び「実演家人格権」の保護期間

「著作者人格権」等は一身専属の権利とされているため (第59条、第101条の2)、著作者等が死亡 (法人の場合は解散) すれば権利も消滅することとなります。 つまり、保護期間は著作者の「生存している期間」です。 しかし、著作者の死後 (法人の解散後) においても、原則として、著作者人格権等の侵害となるべき行為をしてはならないこととされています (第60条、第101条の3)。

[2] 「著作権及び著作隣接権(財産権)」の保護期間

ア 著作権
「著作権(財産権)」の保護期間は、著作者が著作物を創作したときに始まり、原則として著作者の生存している期間及び死後50年間です (第51条)。しかし、死後起算が出来ない又は適当でない著作物については、公表起算になっています。具体的には、無名又は変名(一般によく知られている周知の変名を除く)の著作物及び団体名義の著作物は公表後50年まで、映画の著作物は公表後70年まで保護されます(第52条、第53条、第54条)。

イ 著作隣接権(報酬請求権も含む)
実演、レコード、放送及び有線放送については、実演を行ったとき、レコードを最初に発行したとき(発行されなかったときは、固定[録音]後)、放送及び有線放送を行ったときから50年まで保護されます。

*なお、保護期間の計算は暦年計算で、死亡、公表等した年の翌年の1月1日から起算します。例えば、2005年2月1日に著作者が死亡した場合は、2005に50を加えた2055年の12月31日まで保護されるということです。