物故者データベースを作成する際に、新聞に載った死亡記事を使うことはできるのでしょうか。
データベースの著作権 | 関連用語: 著作物 著作物の例示
死亡記事から、氏名、生没年、略歴等の事実のみをピックアップすることは問題ありません。また、誰が書いても同じような表現しかならない雑報等であれば著作物に該当しませんのでこれをコピーしても問題ありません(第10条第2項)。しかし、単なる死亡告知記事ではなく、故人の業績を回顧し追悼するような記事には著作権がありますから、そのような記事をデータベースに採録する場合は、著作権者(新聞社等)の了解が必要です。
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用語の説明
- 著作物
- 「著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は、著作権法では、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています(第2条第1項第1号)。
具体的にどのようなものが著作物であるのかは、第10条に例示されています。
しかし、これらはあくまでも例示であって、著作物はこれだけに限りません。先に述べた定義にあてはまるもの、すなわち、以下の条件をすべて満たすものは、表に掲げられていないものであっても、著作物に該当することになります。定義の解釈は次のとおりです。
(a)「思想又は感情」を
(b)「創作的」に
(c)「表現したもの」であって、
(d)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの
(a)の条件によって、「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」など(人の思想や感情を伴わないもの)が著作物から除かれます。
(b)の条件によって、他人の作品の「模倣品」など(創作が加わっていないもの)が著作物から除かれます。また、「ありふれたもの」(誰が表現しても同じようなものになるもの)も創作性があるとはいえません。
(c)の条件によって、「アイディア」など(表現されていないもの)が著作物から除かれます(ただし、アイディアを解説した「文章」は表現されているため著作物になり得ます)。
(d)の条件によって、「工業製品」などが、著作物から除かれます。
(注) 「特許権」は「アイディア」を保護し、「著作権」は「表現」を保護しています。このため、例えば、ある「薬」の製法について特許権が付与されている場合、1) その製法に従って、その薬を「製造・販売」すること(アイディアの利用)は、特許権の侵害となり、2) その製法を書いた「論文をコピー」すること(表現の利用)は、「著作権」の侵害になります。 - 著作物の例示
- 著作権法では、次に掲げられているように、著作物の種類を例示しています(第10条)。
○言語の著作物 講演、論文、レポート、作文、小説、脚本、詩歌、俳句など
○音楽の著作物 楽曲、楽曲を伴う歌詞
○舞踊、無言劇の著作物 日本舞踊、バレエ、ダンス、舞踏、パントマイムの振り付け
○美術の著作物 絵画、版画、彫刻、マンガ、書、舞台装置など(美術工芸品を含む)
○建築の著作物 芸術的な建築物
○地図、図形の著作物 地図、学術的な図面、図表、設計図、立体模型、地球儀など
○映画の著作物 劇場用映画、アニメ、ビデオ、ゲームソフトの映像部分などの「録画されている動く影像」
○写真の著作物 写真、グラビアなど
○プログラムの著作物 コンピュータ・プログラム
なお、「映画の著作物」を除き、著作物とされるためには、「固定」(録音、録画、印刷など)されている必要はありませんので、「原稿なしの講演」や「即興の歌」なども保護の対象となります。