Q.

私は福祉ボランティアに参加していますが、私の所属している会では、視覚障害者のために小説等の文芸作品の録音図書を作り、福祉施設に寄付する事業を計画しています。このような事業について著作権の問題はありますか。

 文章の著作権  | 関連用語: 点字による複製等 複製権

A.

一般に著作権者の了解が必要です。

著作権法上、著作権者は複製権を有していますので、文芸作品の録音図書を作成する場合は、原則として、著作権者の了解が必要です。しかし、福祉の増進の観点から、点字図書館等の一定の施設については、著作権者の了解なしに、視覚障害者向けの貸し出し用の録音図書が作成できることになっています(第37条第3項)。この例外的な取り扱いについては、点字の場合と異なり、録音図書は一般市販物も存在し、健常者でも使えるので、一定の施設が作成する場合に限定されています。質問の場合は、この特例に該当しないため、著作権者の了解が必要です。

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用語の説明

点字による複製等
著作権の制限規定の一つです(第37条)。公表された著作物について、点字による複製は著作権者の了解を得ることなく行えます(第37条第1項)。また、公表された著作物を、点字データによって、フロッピーディスク等の記録媒体に保存したり、インターネット等で送信することについても、著作権者の了解なしに行うことができます(第37条第2項)。
複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。

また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。