地域に分割して譲渡することができます。
著作権は、一般に著作物を創作した時点で、国際著作権条約の各加盟国において独立した著作権が発生するというのが一般的な考え方ですので、少なくとも国ごとに分割して譲渡することは可能です。なお、日米両国が加盟しているベルヌ条約の内国民待遇の原則により、基本的には米国では内外人を問わず米国の著作権法で保護されることになります。米国の著作権法では、独占的利用許諾(exclusivelicense)を行えば、著作権を譲渡したのと同じ効果があります。実際に契約する場合は、米国の著作権法に詳しい専門家に相談をした方がいいと思います。
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用語の説明
- 国際著作権条約
- 著作権及び著作隣接権に関する国際条約を総称していいます。
具体的には、ベルヌ条約、万国著作権条約、実演家等保護条約(ローマ条約)、レコード保護条約、TRIPS協定、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約)、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約)、視覚的実演に関する北京条約があります。 - 著作権の譲渡
- 著作者の権利のうち、著作者人格権以外の著作権(財産権)は、契約によって他人に譲り渡すことができます(第61条)。
また、著作権は分割して譲渡することもできます。例えば、複製権などの支分権ごとの譲渡、期間を限定した譲渡、地域を限定した譲渡(米国における著作権)などの方法が考えられます。
なお、全ての著作権を譲り受けたいときは、「全ての著作権を譲渡する」と規定するだけでは不十分です。著作権法では譲渡人の保護規定があり(第61条第2項)、単に著作権を譲渡すると契約しただけでは、二次的著作物の創作権(第27条)及び二次的著作物の利用権(第28条)の権利は権利者に留保されたものと推定されるからです。したがって、著作権を完全に譲り受けるためには、「全ての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」などの文言で契約する必要があります。
また、「ポスター」や広報用の「ビデオ」などの製作を「外注」した場合、著作者となって著作権を持つのは「受注者」となりますので、「発注者」が納品された著作物を自由に利用したいのであれば、発注の時点で「全ての著作権(第27条及び第28条を含む)を発注者に譲渡する」といった契約をしておくことが必要です。 - 内国民待遇
- 著作権又は著作隣接権関係条約に関する保護の原則の一つで、自国民に与えている保護と同等又はそれ以上の保護を条約加盟国の国民の著作物に与えるということを内容としています。なお、著作権関係条約の内国民待遇は、国内法に規定している権利は条約に規定していなくても外国人に与えるという内容ですが、著作隣接権関係条約では、条約に規定する権利についてのみ内国民待遇を与えるという内容であり、内国民待遇の意味が少し違います。