Q.

私の作品が米国で保護されるためには、米国の議会図書館内にある著作権局で登録する必要があるのですか。

 著作権の汎用的な質問  | 関連用語: 内国民待遇 無方式主義

A.

我が国と米国が加盟しているベルヌ条約の原則に従い、何もしなくても著作権は保護されますので、登録の必要はありません。

米国の著作権制度は長い間登録制度を採用し、1976年の現行法制定時においても、効力発生要件ではなくなりましたが、訴訟要件として登録制度が残りました。しかし、米国は、1989年にベルヌ条約に加盟するのを契機に国内法を改正し、アメリカ以外のベルヌ条約加盟国を本国とする著作物については、登録しなくても訴訟できるように改め、ベルヌ条約の原則である著作権の享有に何ら方式を要しないという無方式主義にしました。なお、著作権登録をすると、米国における訴訟で、著作権の有効性が法律上推定されるとか、著作権侵害について法定賠償請求権と弁護士費用賠償請求権が与えられるなどの恩恵が得られることは変わりません。

用語の説明

内国民待遇
著作権又は著作隣接権関係条約に関する保護の原則の一つで、自国民に与えている保護と同等又はそれ以上の保護を条約加盟国の国民の著作物に与えるということを内容としています。なお、著作権関係条約の内国民待遇は、国内法に規定している権利は条約に規定していなくても外国人に与えるという内容ですが、著作隣接権関係条約では、条約に規定する権利についてのみ内国民待遇を与えるという内容であり、内国民待遇の意味が少し違います。
無方式主義
権利の享有に際し、登録、作品の納入(納本)、権利の表示といった、いかなる方式も必要としないという原則のことです。