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登録の種類によって異なります。

我が国の著作権法は、国際条約に基づき、著作物を創作した時点で著作権が自動的に取得できる無方式主義を採用していますので、権利を取得するための登録制度はありません。ただし、著作権法では、著作権に関する法律関係を公示したり、権利変動に関して取引の安全を確保するための登録制度が設けられています。具体的には、無名やペンネーム(変名)で著作物を公表した場合の本名を推定させる「実名の登録」や著作物を最初に公表(発行)した年月日を推定させる「第一公表(発行)年月日の登録」、プログラムの著作物について創作した年月日を推定させる「創作年月日の登録」、著作権・著作隣接権の譲渡や質権等の設定・出版権の設定等が行われた際に第三者に対抗するための「著作権の登録」、「著作隣接権の登録」及び「出版権の登録が設けられています。登録ができる場合はそれぞれの制度で定められており、例えば、実名の登録であれば、無名又は変名での公表(発行)という事実、第一発行(公表)年月日の登録であれば、著作物の発行(公表)という事実が必要です。

用語の説明

実名の登録
無名又は変名(ペンネーム等)で公表された著作物の著作者が、その実名(本名)を公示するために登録を受ける制度です(第75条第1項)。登録を受けた者は、当該著作物の著作者と推定されます(第75条第3項)。その結果、著作権の保護期間が公表後50年間から、実名で公表された著作物と同じように、著作者(登録を受けた者)の死後50年間となります。
出版権の登録
出版権及び出版権を目的とする質権の得失・変更等については、登録しなければ第三者に対抗することができません(第88条)。例えば、著作権者と別途出版の契約をした者や、著作権を譲り受けた者に対して対抗することができないことになります。また、出版権は排他的独占的な権利ですので、本来は二重に出版権の設定はできないのですが、仮にそのような事態が生じた場合は、出版権の設定契約の前後にかかわらず、先に登録した方が相手方に対抗できるということになります。
創作年月日の登録
プログラムの著作物の著作者が、当該プログラムの著作物が創作された年月日の登録を受けることができる制度です(第76条の2)。登録により反証がない限り、登録されている日に当該プログラムの著作物が創作されたものと推定されます。なお、創作年月日の登録は、プログラムの創作後6ヶ月を経過した場合は申請できません。また、登録業務は、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律第5条に基づき、文化庁が指定した指定登録機関((財)ソフトウェアー情報センター)で行われています。
第一公表(発行)年月日の登録
著作権に関する登録制度の一つです(第76条)。著作権者又は無名や変名で公表された著作物の発行者が、その著作物が最初に発行された年月日(又は公表された年月日)の登録を受けることができます。登録により反証がない限り、登録されている日に当該著作物が第一発行(又は第一公表)されたものと推定されます。なお、登録機関は、プログラムの著作物以外は、文化庁著作権課、プログラムの著作物は、文化庁の指定登録機関である(一財)ソフトウェア情報センターです。
著作権(著作隣接権、出版権)の登録
著作権等に関する登録制度の一つです(第77条、第88条、第104条)。著作権(著作隣接権)の登録とは、登録権利者及び登録義務者が、
[1]著作権(著作隣接権)の移転(譲渡など)・処分の制限について、又は
[2]著作権(著作隣接権)を目的とする質権の設定・移転・変更・消滅・処分の制限について、
文化庁(プログラムの著作物の場合は、文化庁の指定登録機関である(財)ソフトウエア情報センター)の登録を受けることができる制度です。著作権等に係る権利の変動に関しては、登録しなければ、第三者に対抗することができません。
登録制度
著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、その取得のためになんら手続を必要としません。この点が、登録することによって初めて権利が発生する「特許権」や「実用新案権」などと異なる点です。

著作権法上の登録制度は、権利取得のためのものではなく、著作物に係る法律事実を公示する、或いは、著作権、出版権又は著作隣接権について、権利の移転、質権の設定等の権利変動があった場合の取引の安全を確保するための制度です。

著作権法では次のような登録制度を設けています。

[1]実名の登録(著作物、第75条)
[2]第一発行(公表)年月日の登録(著作物、第76条)
[3]創作年月日の登録(プログラムの著作物、第76条の2)
[4]著作権又は著作隣接権の移転等の登録(第77条、第104条)
[5]出版権の設定等の登録(法第88条)

登録申請は、文化庁著作権課にて受け付けています。なお、プログラムの著作物については、(財)ソフトウェア情報センター(SOFTIC)にて受け付けています。
無方式主義
権利の享有に際し、登録、作品の納入(納本)、権利の表示といった、いかなる方式も必要としないという原則のことです。