Q.

英語の「原作」を日本語に翻訳した「小説」をコピーしたい場合、「原作者」「翻訳者」のうち、どちらの了解を得ればいいのでしょうか。

 文章の著作権  | 関連用語: 二次的著作物 二次的著作物の創作権 二次的著作物の利用権 複製権

A.

原則として両者の了解が必要です。

既存の著作物を基に新たな創作性が加わってできた著作物は、一般に二次的著作物といわれています。翻訳という行為は創作行為の一種ですので、質問の場合も日本語の小説は英語の原作の二次的著作物と考えられます。翻訳された小説をコピーする場合は、翻訳者の複製権(第21条)が働くのは当然として、原作の著作権も同時に働きますので(第28条)、結局「原作者」「翻訳者」両者の了解が必要ということになります。

用語の説明

二次的著作物
ある外国の小説を日本語に「翻訳」した場合のように、一つの著作物を「原作」とし、新たな創作性を加えて創られたものは、原作となった著作物とは別の著作物として保護されます(「翻訳」などをした人が著作者)。このような著作物は、「二次的著作物」と呼ばれています。小説を「映画化」したもの、既存の楽曲を「編曲」したものなども、このような二次的著作物です(第2条第1項第11号、第11条)。この権利を、一般に二次的著作物の創作権(第27条)と呼んでいますが、具体的には翻訳権、編曲権、変形権(例えば平面的な著作物を立体的な著作物にする)、翻案権(脚色、映画化等)からなります。

なお、この二次的著作物を利用する場合は、二次的著作物の創作者である翻訳者、編曲者等の了解を得る必要があることはいうまでもありませんが、原作の著作者についても了解が必要で、一般にこれを二次的著作物の利用権(第28条)と呼んでいます。
二次的著作物の創作権
ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。このように二次的著作物を創作する権利のことを、二次的著作物の創作権(第27条)といい、原作の著作権者の了解がないと二次的著作物は作れないことになっています。なお、この権利は、翻訳権、編曲権、変形権(例えば平面的な著作物を立体的な著作物にすること)、翻案権(脚色化、映画化等)からなっています。
二次的著作物の利用権
ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。

二次的著作物については、これを創作した者が有する権利(著作権)と同一の権利を、原著作物の著作権者も有することになり、これを一般に二次的著作物の利用権と呼んでいます(第28条)。具体的には、日本語で書かれた小説を英語に翻訳し、それを出版する場合は、翻訳者の了解だけでなく、原作者の了解も必要であるということです。
複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。

また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。