Q.

私の小説の英語版からフランス語版に翻訳するときに、私の著作権は働くのですか。

 文章の著作権  | 関連用語: 二次的著作物の創作権 二次的著作物の利用権 翻訳権

A.

小説家(著作権者)の翻訳権が働きます。

小説家は、翻訳権を有していますので、原則として小説家の了解なしに他人が翻訳をすることはできません(第27条)。また、質問のように一旦翻訳された翻訳物を翻訳する場合についてですが、英語版は元の小説の二次的著作物に該当しますので、小説家は、英語版の著作者である翻訳者と同様の権利を持つことになっています(第28条)。したがって、英語版からフランス語に翻訳するときは、英語版の翻訳者と小説家の2つの翻訳権が別々に働くことになります。

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用語の説明

二次的著作物の創作権
ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。このように二次的著作物を創作する権利のことを、二次的著作物の創作権(第27条)といい、原作の著作権者の了解がないと二次的著作物は作れないことになっています。なお、この権利は、翻訳権、編曲権、変形権(例えば平面的な著作物を立体的な著作物にすること)、翻案権(脚色化、映画化等)からなっています。
二次的著作物の利用権
ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。

二次的著作物については、これを創作した者が有する権利(著作権)と同一の権利を、原著作物の著作権者も有することになり、これを一般に二次的著作物の利用権と呼んでいます(第28条)。具体的には、日本語で書かれた小説を英語に翻訳し、それを出版する場合は、翻訳者の了解だけでなく、原作者の了解も必要であるということです。
翻訳権
二次的著作物の創作権(第27条)の一つです。この権利は、ある著作物に創作性を加えて別の著作物を作る権利のことをいいますが、その行為の中で、ある言語で作成された著作物を別の言語で表現することに関する権利を翻訳権といいます。