Q.

いわゆる「ファイル交換ソフト」を使うことは、違法なのでしょうか。

 著作権の汎用的な質問  | 関連用語: 公衆送信権 私的使用のための複製 複製権

A.

いわゆる「ファイル交換ソフト」を使って、他人の著作物を権利者の了解なしに複製・送信することは違法と考えられます。

自分で楽しむためにダウンロード(複製)しているだけであり、私的使用のための複製(第30条)に該当し、権利者の許諾は不要ではないかと思われるかもしれませんが、「ファイル交換ソフト」でダウンロードしたファイルは、自動的に、別の人からアクセスがあった場合送信されることになります。そのため、ダウンロードしただけであっても、他人に提供するための複製や送信(いつでも送信しうる状態にすることを含む)を行ったことになってしまいます。このような複製や送信は、権利者の了解なしにはできないことになっていますので、「ファイル交換ソフト」を使って他人の著作物を権利者の了解なし複製・送信することは違法と考えられます。

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用語の説明

公衆送信権
公衆送信権は、著作物を公衆向けに「送信」することに関する権利(第23条)であり、公衆向けであれば、無線・有線を問わず、あらゆる送信形態が対象となります。具体的には、次のような場合が含まれます。

(a) テレビ、ラジオなどの「放送」や「有線放送」
(著作物が、常に受信者の手元まで送信されているような送信形態)
(b) インターネットなどを通じた「自動公衆送信」
(受信者がアクセスした(選択した)著作物だけが、手元に送信されるような送信形態。受信者が選択した著作物を送信する装置(自動公衆送信装置=サーバーなど)の内部に著作物が蓄積される「ホームページ」のような場合と、蓄積されない「ウェブキャスト」などの場合がある)
(c) 電話などでの申込みを受けてその都度手動で送信すること
(ファックスやメールを用いるもの。サーバー等の機器によってこれを自動化したものが (b)の場合。)

上記(b)の場合、この権利は、サーバー等の「自動公衆送信装置」からの「送信」だけでなく、その前段階の行為である、「自動公衆送信装置」への「蓄積」(いわゆるアップロード)や「入力」(ウェブキャストなど蓄積を伴わない場合)などにも及びます。こうした行為により、蓄積・入力された著作物は、「受信者からのアクセス(選択)があり次第『送信』され得る」という状態に置かれるため、これらの行為は「送信可能化」と総称されています。

つまり、無断で「送信可能化」すると、まだ、受信者への送信が行われていなくても、権利侵害となるわけです。

なお、この公衆送信権は、学校内などの「同一の構内」においてのみ行われる「送信」は、プログラム以外は対象とはなりません。ただし、校内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を使う場合は、サーバー等に「コピー」ができますので、コピーすることについて著作権者の了解を得ることが必要となります。
私的使用のための複製
著作権の制限規定の一つです(第30条)。

「テレビ番組を録画しておいて後日自分で見る場合」などのように、「家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用することを目的として、使用する本人が複製する場合」の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたりプリントアウトしたりすること(いずれも「複製」に該当する)にも、この例外は適用されます。また、学校の児童生徒などが本人の「学習」のために行う複製(コンピュータ、インターネット等の利用を含む)も、この例外の対象です。
【条件】
ア 家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用すること
イ 使用する本人が複製すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
ウ 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は、コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
エ コピーガードを解除して(又は解除されていることを知りつつ)複製するものでないこと
オ 著作権を侵害したインターネット配信と知りながら、音楽や映像をダウンロードするものでないこと

なお、政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器・媒体を用いてコピー(複製)する場合には、著作権者に「補償金」を支払う必要がありますが、これらの機器・媒体については、販売価格に「補償金」があらかじめ上乗せされていますので、利用者が改めて「補償金」を支払う必要はありません。
複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。

また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。