著作者がどうしても世に出たくないということでペンネームで発行していた小説の海賊版が出回っていますが、海賊版業者に損害賠償と差し止め請求をするためには、著作者名を明らかにした上で本人が訴える必要があるのですか。
著作権者である作家がどうしても著作者名を明らかにしたくない場合は、その小説の発行者(出版社)が、作家のために訴えることができます。
損害賠償や差止めを請求できるのは、本来は被害者本人つまり著作権者ですが、裁判のために氏名を明らかにしなくてはならないとすると、あえてペンネームで発行した意味がなくなってしまいます。このため著作権法では、こうした場合の特例として、発行者が、自分の名で、著作者のために訴訟を起こすことができると定めています(第118条)。なお、訴訟は発行者の名で行なわれますが、裁判の結果(差止めや損害賠償など)は著作者に帰属します。