他社と作家との出版契約の内容によります。特に他社と作家の間で出版者に出版を独占する権利を与える出版権の設定契約(第79条)が締結されており、その契約が終了してなければ、作家の了解を得た場合であっても、他の出版者は原則として出版ができません。それ以外の場合は、作家の了解が得られれば、出版できることになりますが、作家と他社の契約の内容によっては、当該作家が他社から契約違反を問われる場合がありますので、注意が必要です。
関連する質問
用語の説明
- 出版権の設定
- 出版者が著作権者と契約して「出版、電子出版」を行うときには「出版権の設定」という契約をすることがあります。「出版権の設定」が行われた場合、出版者は、「著作物について出版、電子出版を行うことに関する排他的権利」を持つことになります。そのため、著作権者から、「出版、電子出版を行うことについての了解」を得る契約(利用許諾契約)の場合と違い、「出版権の設定」を受けた出版者は、侵害行為に対して自ら権利者として差止請求などを行うことができます。
なお、「出版権の設定」を受けた出版者は、原稿の引渡し等を受けた日から6ヶ月以内に著作物について出版、電子出版を行う義務や継続して出版、電子出版を行う義務を負います。また、「出版権の設定」等については、登録しなければ第三者に対抗することができません(第79条~第88条)。 - 出版権の登録
- 出版権及び出版権を目的とする質権の得失・変更等については、登録しなければ第三者に対抗することができません(第88条)。例えば、著作権者と別途出版の契約をした者や、著作権を譲り受けた者に対して対抗することができないことになります。また、出版権は排他的独占的な権利ですので、本来は二重に出版権の設定はできないのですが、仮にそのような事態が生じた場合は、出版権の設定契約の前後にかかわらず、先に登録した方が相手方に対抗できるということになります。