出版者は、著作権者(複製権者)と出版権設定契約を結ぶことにより、著作物の出版について、独占的・排他的権利を持つことができますが(第79条、第80条)、その一方でいくつかの義務が定められています。
まず、出版権者は、原則として著作権者から原稿その他出版に必要な物を受け取ってから6ヶ月以内にその著作物を出版する義務があります(第81条第1号)。また、出版権者は慣行に従い継続して出版する義務があります(第81条第2号)。なお、出版の義務違反の場合には著作権者は出版者に通知して出版権を消滅させることができます(第84条第1項)。また、継続出版義務違反の場合には3ヶ月以上の期間を定めて出版を催促する手続を経た上で、それでも出版されない場合には出版者に通知して出版権を消滅させることができます(第84条第2項)。
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用語の説明
- 出版権の設定
- 出版者が著作権者と契約して「出版、電子出版」を行うときには「出版権の設定」という契約をすることがあります。「出版権の設定」が行われた場合、出版者は、「著作物について出版、電子出版を行うことに関する排他的権利」を持つことになります。そのため、著作権者から、「出版、電子出版を行うことについての了解」を得る契約(利用許諾契約)の場合と違い、「出版権の設定」を受けた出版者は、侵害行為に対して自ら権利者として差止請求などを行うことができます。
なお、「出版権の設定」を受けた出版者は、原稿の引渡し等を受けた日から6ヶ月以内に著作物について出版、電子出版を行う義務や継続して出版、電子出版を行う義務を負います。また、「出版権の設定」等については、登録しなければ第三者に対抗することができません(第79条~第88条)。