損害賠償額はどのようにして決まるのでしょうか。
著作権の汎用的な質問 | 関連用語: 損害額の推定
著作権侵害の場合、権利者の受けた損害の額の算定とその証明は困難な場合が多いので、著作権法では、損害額立証負担を軽減するための特例を設けていますので、多くの場合、この特例に基づいて損害額の立証が行われることになります(第114条)。
まず、例えば、映画の著作権を有している映画会社が、映画ソフトの海賊版業者を訴える場合のように権利者自らが販売等を行っているときは、一定の条件のもとで、当該海賊版業者が販売した海賊版の数量に、海賊版の販売がなければ権利者が得られたであろう単位利益の額を乗じた額を損害額とすることができます。また、例えば、小説家が出版物の海賊版業者を訴える場合のように権利者自らは販売等を行っていないときは、その権利者が通常受けるべき使用料の額(この場合は印税相当額)を損害額とすることができます。なお、いずれの場合も、権利者は、その額をこえる額を損害賠償として請求することもできますが、その場合は、裁判所が事情を参酌して決定することになります。
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用語の説明
- 損害額の推定
- 財産権としての著作権、出版権又は著作隣接権の侵害は、権利者による損害額の立証が容易ではないため、次のようないくつかの特例を設け、立証負担の軽減を図っています。(第114条)なお、次のような場合においても、それ以上の金額を請求することも可能です(第114条第4項)。
1 権利者自身が著作物等の複製物の販売等を行っている場合(第114条第1項)
海賊版等の譲渡等数量に正規品の一個当たりの利益額を掛け合わせた額。ネット配信などの公衆送信の場合も同様。ただし、権利者の販売能力や諸般の事情により減額される場合もある。
2 権利者は利用の許諾のみを行っている場合(第114条第3項)
例えば、ある出版社に出版をさせている小説家の場合、正規品の定価が1000円で著作権料が10%の100円であるときは、海賊版の販売(又は印刷)数量に一冊当たりの著作権料(100円)を掛け合わせた額。
3 海賊版業者の利益が明らかな場合(第114条第2項)
海賊版業者の利益(売り上げから、経費を差し引いた額)が明らかな場合はその額