Q.

私の作品を無断で利用した人に著作権侵害を主張したところ、相手方も非を認め謝罪しましたが、損害賠償額でどうしても折り合いがつきません。裁判所に訴えると費用もかかるので訴訟は望んでないのですが、簡単にこの問題を解決してくれる制度があるのでしょうか。

 著作権の汎用的な質問

A.

裁判所の「民事調停」、文化庁の「あっせん」、日本知的財産仲裁センターによる「調停」と「仲裁」、などの裁判外の紛争処理制度がありますが、いずれの制度もそれを開始するに当たっては当事者間の合意が必要です。

民事調停は、当事者の申し立てにより、調停委員会(裁判官1人と裁判所が任命する民事調停委員2人以上で構成)が行ないます。当事者が合意して調停が成立すると、裁判上の和解と同じ効力があります。次に、文化庁のあっせん制度は、著作権法に定められた制度です。文化庁長官が事件ごとに委嘱するあっせん委員(3人以内)が、紛争の解決をめざしてあっせんを行ないますが、内容に法的な拘束力はありません(第105条、第109条)。最後に日本知的財産仲裁センターの調停と仲裁は、専門の弁理士・弁護士による調停人、仲裁人が、第三者として紛争解決のための判断を下すものです。調停人の判断には強制力がありませんが、仲裁人の判断は、裁判所の確定判決と同じ効力を持ちます。