Q.

著作隣接権制度ができた現行著作権法の施行前(昭和46年前)に行われたレコードは保護されるのですか。

 著作権の汎用的な質問  | 関連用語: 旧法の保護期間等との調整 レコードの保護期間

A.

保護されます。

旧著作権法ではレコード(録音物)は著作物として保護されており、録音した者には他の著作物の著作者と同様の保護期間が認められていました。新しい著作権法(現行法)の施行にともない、新法施行前にその音が最初に固定されたレコードで新法施行時に旧法による著作権が存在していたレコード製作者の権利は、引き続き著作隣接権制度で保護されることになり、その権利の内容も新法に移行しました。

なお、現行法施行時のレコードの権利の存続期間は、その音を最初に固定した時から20年でしたが、その後30年になり、現在はレコードの発行後50年間保護されます(第101条)。また、新制度への以降にあたり、既得権保護の観点から、旧法による保護期間の方が新制度のものより長い場合は従来どおり旧法の保護期間を適用する(ただし、新法施行の日から50年を限度(2021年)とする)という経過措置があります(例えば、旧法では、(本名)実名で発行された録音物の製作者については、製作者の死後30年まで保護される)(附則15条第2項)。

用語の説明

旧法の保護期間等との調整
旧著作権法と現行著作権法では、例えば旧著作権法では原則的保護期間が死後30年(暫定延長の結果最終的には実名の著作物は死後38年まで延長)までだったのが、現行著作権法では死後50年に延長されたなど著作物の種類等にもよりますが、著作物の保護期間が大きく異なっています。そのため、現行著作権法の施行時(昭和46年(1971年)1月1日)に、旧著作権法の下で著作権が消滅している著作物の著作権は復活しないこと(附則第2条)、旧著作権法の下で創作された著作物の保護期間が現行著作権法による保護期間より長い場合は旧著作権法の保護期間による(附則第7条)こととの調整措置がおかれました。また、例えば映画の著作物のように、現行著作権法施行後に保護期間が延長されたもの(平成16(2004)年1月1日に公表後50年までから公表後70年までに延長)も、基本的には同様の措置を講じています。

そのため、特に旧著作権法の下で創作された著作物については、外国人の著作物に適用がある戦時加算も含め、注意が必要です。なお、具体的には、文化庁ホームページに掲載している「著作権テキスト」の4(4)保護期間の最後にある「[参考1]旧著作権法下における著作権の保護期間について」を参照してください。
レコードの保護期間
著作隣接権の対象としてのレコードの保護期間は、「その音を最初に固定した時」に始まり、「レコードの発行(販売等)が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過した時」をもって満了します(第101条)。例えば2005年2月1日に発行されたレコードについては、2005年に50年を加えた2055年の12月31日まで保護されます。