Q.

私の作品が10年以上無断で利用されていたので、無断利用していた業者と話し合いを4年以上続けたのですが埒があきません。民事裁判をして損害賠償を求めようとしましたが、損害賠償請求権は時効で消滅しているといわれました。本当でしょうか。

 著作権の汎用的な質問  | 関連用語: 損害賠償請求 不当利得返還請求

A.

時効の中断が認められる場合を除き損害賠償請求権は消滅していると考えられますが、著作権侵害により相手方が利益を得ているときは、10年前に遡って不当利得の返還を求めることができると思われます(民法703条)。いずれにしても弁護士等の法律の専門家に相談してください。

民法第709条に基づく損害賠償請求権は、侵害の事実を知った時から3年又は侵害行為があったときから20年で消滅します(民法第724条)。しかし、民法で定められた時効の中断事由(民法第147条)に該当する行為があれば、それまでの時効期間は消滅することになります。また、他人の権利を侵害することにより利益を受けた者に対し、侵害を被った者は、不当利得の返還を請求することができます。なお、この場合、不当利得返還請求権の時効は、10年の不行使です(民法167条)。

用語の説明

損害賠償請求
著作権者等の権利者は、故意又は過失により、自己の著作権等を侵害した者に侵害による損害賠償の請求ができます(民法709条)。請求可能額については、「損害額の推定」の用語解説を参照してください。なお、著作者人格権又は実演家人格権の場合で、精神的苦痛に対する請求の場合は、慰謝料の請求になります(民法第710条)。
不当利得返還請求
法律上の原因がないのに、例えば他人の権利を侵害することにより、利益を受けた者に対して、侵害を被った者は、相手方が得た利益の返還を請求することが出来ます(民法第703条、第704条)。著作権等の場合においても、もちろん適用がありますが、実務的には、例えば音楽を継続的に無断利用していた者などに対し請求が行われることがあります。