Q.

昭和30年(1955年)に映画館で公表されたニュース映画の著作権は、いつまで保護されるのですか。

 映像の著作権  | 関連用語: 映画の著作物の保護期間 旧法の保護期間等との調整

A.

一般に著作権は消滅していると考えられます。

映画の保護期間は原則公表後70年までですので、一見すると2025年末まで保護されるように思われます(第54条)。しかし、現行の著作権法は昭和46年(1971年)1月から施行されましたが、それ以前の旧法の時代は、映画の著作物は、劇映画のような独創性のあるものと、ニュース映画のような独創性のないものに分けて、保護期間を計算することになっていました。このうち独創性のないものは、原則発行後10年の保護期間だった写真の著作物と同じ保護期間が適用されることになっていました。また、現行法の制定に当たり、いったん消滅した保護期間は復活しないとの調整規定がおかれました(附則第2条)。したがって、質問の場合、昭和30年に公表されたニュース映画は、昭和40年(1965年)末で著作権が消滅したことになります。

用語の説明

映画の著作物の保護期間
映画の著作物の保護期間は、公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年)です(第54条)。また、期間の計算は暦年計算で、公表された年の翌年の1月1日から起算します。例えば2004年1月12日に公開された映画の保護期間は、2004年に70年を加えた2074年12月31日までということになります。なお、映画の著作物は、旧著作権法の時代から現在にいたるまで、数回保護期間を延長しております(最新改正、平成16(2004)年1月から、公表後50年から公表後70年に延長)。保護期間が延長される際に、延長前に既に著作権が消滅していると著作権は復活しないという調整措置が行われているので、保護期間の計算には注意が必要です。
旧法の保護期間等との調整
旧著作権法と現行著作権法では、例えば旧著作権法では原則的保護期間が死後30年(暫定延長の結果最終的には実名の著作物は死後38年まで延長)までだったのが、現行著作権法では死後50年に延長されたなど著作物の種類等にもよりますが、著作物の保護期間が大きく異なっています。そのため、現行著作権法の施行時(昭和46年(1971年)1月1日)に、旧著作権法の下で著作権が消滅している著作物の著作権は復活しないこと(附則第2条)、旧著作権法の下で創作された著作物の保護期間が現行著作権法による保護期間より長い場合は旧著作権法の保護期間による(附則第7条)こととの調整措置がおかれました。また、例えば映画の著作物のように、現行著作権法施行後に保護期間が延長されたもの(平成16(2004)年1月1日に公表後50年までから公表後70年までに延長)も、基本的には同様の措置を講じています。

そのため、特に旧著作権法の下で創作された著作物については、外国人の著作物に適用がある戦時加算も含め、注意が必要です。なお、具体的には、文化庁ホームページに掲載している「著作権テキスト」の4(4)保護期間の最後にある「[参考1]旧著作権法下における著作権の保護期間について」を参照してください。