Q.

私が苦労して調べたデータは、著作権で保護されますか。

 データベースの著作権  | 関連用語: 図形の著作物 著作物 データベースの著作物 編集著作物

A.

富士山の高さは何メートルであるといった単なるデータは、事実にすぎず、思想又は感情を包含していないため、それ自体は著作権法による保護はありません。ただし、それらのデータを収集し、一定の考え方のもとにまとめて整理したものであれば、全体として、編集著作物又はデータベースの著作物として、また、創意工夫をこらした図表にしたような場合は、図形の著作物として、保護される可能性はあります。

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用語の説明

図形の著作物
地図、学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形も著作物の概念に含まれています(第10条第1項第6号)。具体的には、道路地図、住宅地図、建築物の設計図、グラフ、立体的な地球儀、人体模型などが考えられます。
著作物
「著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は、著作権法では、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています(第2条第1項第1号)。

具体的にどのようなものが著作物であるのかは、第10条に例示されています。

しかし、これらはあくまでも例示であって、著作物はこれだけに限りません。先に述べた定義にあてはまるもの、すなわち、以下の条件をすべて満たすものは、表に掲げられていないものであっても、著作物に該当することになります。定義の解釈は次のとおりです。

(a)「思想又は感情」を
(b)「創作的」に
(c)「表現したもの」であって、
(d)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの

(a)の条件によって、「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」など(人の思想や感情を伴わないもの)が著作物から除かれます。

(b)の条件によって、他人の作品の「模倣品」など(創作が加わっていないもの)が著作物から除かれます。また、「ありふれたもの」(誰が表現しても同じようなものになるもの)も創作性があるとはいえません。

(c)の条件によって、「アイディア」など(表現されていないもの)が著作物から除かれます(ただし、アイディアを解説した「文章」は表現されているため著作物になり得ます)。

(d)の条件によって、「工業製品」などが、著作物から除かれます。

(注) 「特許権」は「アイディア」を保護し、「著作権」は「表現」を保護しています。このため、例えば、ある「薬」の製法について特許権が付与されている場合、1) その製法に従って、その薬を「製造・販売」すること(アイディアの利用)は、特許権の侵害となり、2) その製法を書いた「論文をコピー」すること(表現の利用)は、「著作権」の侵害になります。
データベースの著作物
データベースとは、「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの(第2条第1項第10号の3)」をいい、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するデータベースは著作物としての保護を受けます(第12条の2)。

例えば、学術論文の書誌事項や全文を蓄積したデータベース、企業内の従業員に関する情報や顧客情報を蓄積したデータベースなどがあります。

データベースの著作物は、編集著作物と類似する面を持っていますが、「素材の配列」ではなく「情報の体系的な構成」に著作物としての重要な要素を認めている点で異なっています。「体系的な構成」とは、コンピュータで検索するためのコード、個々の情報の属性(数値なのか文字なのかなど)、情報の文字数や桁数などを設定し、それに従って情報を整理し、組み立てることを言います。
編集著作物
詩集、百科事典、新聞、雑誌のような「編集物」は、そこに「部品」として収録されている個々の著作物などとは別に、部品の選択又は配列に創作性があれば「全体」としても「編集著作物」として保護されます(第12条)。

なお、類似の著作物として、コンピュータで検索できる編集物のうち、部品の選択又は体系的な構成に創作性があるものを「データベースの著作物」といい(第2条第1項第10号の3、第12条の2)、編集著作物とは区別しています。