図書館ですが、ある人から、個人で録画した放送番組の寄贈を受けました。これを自由に上映、貸し出しをすることができますか。
映像の著作権 | 関連用語: 私的使用のための複製 複製権 複製物の目的外使用
一般的に上映・貸出しはできないと考えてください。
私的使用のための複製(第30条)に該当すれば、放送局や番組製作者等の関係権利者の了解がなくても、放送番組を録画できます。しかし、著作権法では、著作権の制限規定を使って複製したものを、当該規定の目的以外の目的で使うことは原則としてできないことになっており、質問の場合であれば、図書館が上映又は貸出用に放送番組を無断で録画したと同じことになります。なお、この場合、関係権利者の了解を得れば利用できることになりますが、放送番組は放送局や番組製作者以外の著作者や実演家等が多数制作に関与しており、了解を得る作業は非常に困難だと思われます。
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用語の説明
- 私的使用のための複製
- 著作権の制限規定の一つです(第30条)。
「テレビ番組を録画しておいて後日自分で見る場合」などのように、「家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用することを目的として、使用する本人が複製する場合」の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたりプリントアウトしたりすること(いずれも「複製」に該当する)にも、この例外は適用されます。また、学校の児童生徒などが本人の「学習」のために行う複製(コンピュータ、インターネット等の利用を含む)も、この例外の対象です。
【条件】
ア 家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用すること
イ 使用する本人が複製すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
ウ 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は、コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
エ コピーガードを解除して(又は解除されていることを知りつつ)複製するものでないこと
オ 著作権を侵害したインターネット配信と知りながら、音楽や映像をダウンロードするものでないこと
なお、政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器・媒体を用いてコピー(複製)する場合には、著作権者に「補償金」を支払う必要がありますが、これらの機器・媒体については、販売価格に「補償金」があらかじめ上乗せされていますので、利用者が改めて「補償金」を支払う必要はありません。 - 複製権
- 手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。
なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。
また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。 - 複製物の目的外使用
- 私的使用のための複製などの権利制限規定によって作成された著作物等の複製物は、それぞれの規定に定める使用目的のために作成されたものです。したがって、著作権法では、例えば、当初の目的・用途以外の目的等で用いるために、当該複製物を他人にあげたり貸したり、又は見せたり聴かせたりした場合は、その行為をした人が、その時点で複製をしたと見なして、複製物の作成について再評価をする仕組みにしています(第49条)。