Q.

国や地方公共団体が作成した報告書や白書を利用したいのですが、どうすればよいのですか。

 文章の著作権  | 関連用語: 引用

A.

国、地方公共団体、独立行政法人等が一般周知するために作成し、その著作の名義で公表した広報資料、調査統計資料、報告書その他これに類する著作物は、「転載を禁ずる」などの転載禁止表示がない限り、説明の材料として新聞、雑誌などの刊行物に転載することができます(第32条第2項)。官公庁の発行するいわゆる白書もこれに類する著作物です。また、刊行物には、CD-ROMのような電子媒体も含むと解されています。なお、転載する場合は出所の明示が必要です。

関連する質問

国、地方公共団体や独立行政法人が作成した資料や報告書等の刊行物は、「禁転載」や「転載を禁ず」といった表示があれば、引用が出来ないと聞きましたが本当ですか。
「禁転載」や「転載を禁ず」といった表示がある著作物を引用すると、著作権侵害に当たりますか。
「禁転載」の注意書きがあるものは引用できないのでしょうか。
今から60年前に作成され公表された我が国の会社名義の報告書がありますが、この報告書の著作権は現在ありますか。
会社の仕事である調査報告書を作成しましたが、会社の都合で当該報告書は公表されないことになりました。この報告書の著作者は誰で、著作権は誰のものですか。
記者会見などで配布された報道資料やその場で発表されたコメントは著作物ですか。
今から80年前に作成された未公表の会社名義の報告書があるのですが、この報告書に歴史的価値があるということで、平成16年(2003年)6月に初めて刊行されました.この報告書の著作権はいつまで存続しますか。
私はあるシンクタンクの調査員ですが、ある会社から委託された調査研究の報告書をほとんど一人で作成しました。この報告書の著作権は私にあるのでしょうか。
平成16年8月に出版された文化庁名義の文化白書の著作権はいつまで保護されますか。
発行後50年以上経過した新聞紙面の中の記事や写真は全て保護期間が切れていると考えてよいのですか。

用語の説明

引用
著作権の制限規定の一つです(第32条)。 例えば学術論文を創作する際に自説を補強等するために、自分の著作物の中に、公表された他人の著作物を掲載する行為をいいます。

引用と言えるためには、[1]引用する資料等は既に公表されているものであること、[2]「公正な慣行」に合致すること(例えば、引用を行う「必然性」があることや、言語の著作物についてはカギ括弧などにより「引用部分」が明確になってくること。)、[3]報道、批評、研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること、(例えば、引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であることや、引用される分量が必要最小限度の範囲内であること)、[4]出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)(第48条)の要件を満たすことが必要です(第32条第1項)。

また、国、地方公共団体の機関、独立行政法人等が作成する「広報資料」、「調査統計資料」、「報告書」等の著作物については、[1]一般への周知を目的とした資料であること、[2]行政機関等の著作名義の下に公表した資料であること、[3]説明の材料として転載すること、[4]「転載禁止」などの表示がないこと、[5]出所の明示が必要なこと(第48条)の要件を満たした場合は、刊行物への大幅な転載が認められています(第32条第2項)。