Q.

行政機関に設置されている審議会の会議資料とするため、雑誌記事を複写し、各委員に配布しようと思っているのですが、著作権の問題はありますか。立法機関や司法機関の場合はどうですか。

 文章の著作権  | 関連用語: 裁判手続等における複製 複製権

A.

原則として著作権者の了解は必要ありません。

著作権法上、著作権者は複製権を有しています(第21条)。しかし、行政目的のためであれば、内部資料として必要な限度で複製することは著作権者の了解は必要ないとされていますので、質問のように審議会の会議資料としての雑誌記事を複写する場合はその典型的なケースといえます(第42条)。立法、司法の分野でも基本的に同様の取り扱いですが、司法の分野では、裁判所や検察庁といった国家機関だけでなく、裁判手続きに関与する争訟当事者、弁護士、鑑定人等も裁判手続きに必要と認められる場合には必要な限度で複製することができます。

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用語の説明

裁判手続等における複製
著作権の制限規定の一つです(第42条)。 著作物(公表されたものに限りません。)は、裁判手続のために必要な場合や立法、行政の目的のために内部資料として必要な場合には、その必要と認められる限度内で、著作権者の了解なしに複製することができます。ただし、必ず著作物の出所の明示をしなければなりませんし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合は除かれます。
複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。

また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。