Q.

レコード製作者にはどのような権利が与えられるのですか。

 音楽の著作権  | 関連用語: 商業用レコードの貸与報酬請求権 商業用レコードの二次使用料を受ける権利 著作隣接権

A.

排他的独占的な権利である著作隣接権と他人の利用を拒否できないが利用されたときは報酬を求めることができるいわゆる報酬請求権の2種類の経済的な権利が認められています(第89条第2項)。

用語の説明

商業用レコードの貸与報酬請求権
市販用の音楽CDなどを貸しレコード店などでレンタルする場合、基本的には、作詞家・作曲家等(著作権者)の貸与権(第26条の3)、演奏家・歌手等の実演家の貸与権(第95条の3)及びレコード原盤を作成したレコード製作者の貸与権(第97条の3)の三種類の権利が働くことになっています。ただし、著作権者については、保護期間を通じて「許諾権」(著作権者の了解なしには貸与できない権利)であるのに対し、実演家とレコード製作者については、音楽CDなどの発売後1年間は「許諾権」が付与されていますが、2年目から保護期間が満了するときのおよそ49年間については、「報酬請求権」(利用させるかさせないかという決定権はないがレンタルされた場合は使用料を請求できる権利)とされています。

なお、この報酬請求権の行使は、文化庁が指定する団体(公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会(実演家)及び一般社団法人 日本レコード協会(レコード製作者))を通じて行われます。また、現状では、許諾権に係る使用料についても両団体を通じて請求されています。
商業用レコードの二次使用料を受ける権利
市販用の音楽CD等を放送や有線放送で使われた場合、非営利、無料で放送を受信して同時に有線放送をする場合を除き、放送事業者や有線放送事業者に対して使用料(報酬)を請求できる権利のことをいいます(第95条、第97条)。

著作者の場合には、公衆送信(放送、有線放送、インターネットでの送信(送信可能化を含む)など)は、すべて「許諾権」(著作権者の了解なしに利用できない権利)の対象とされています。これに対して、実演家の場合は、生の実演については「許諾権」の対象ですが、録音された実演については、送信可能化権だけが「許諾権」の対象で、放送・有線放送については、「報酬請求権」(利用させるかさせないかという決定権はないが利用された場合には使用料を請求できる権利)とされています。レコード製作者の場合も基本的に同様です。

なお、この権利の行使は、文化庁が指定する団体(公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会(実演家)及び一般社団法人 日本レコード協会(レコード製作者)を通じて行われます。
著作隣接権
著作物等を「伝達する者」(実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者)に付与される権利です。著作隣接権は、実演等を行った時点で「自動的」に付与されるので、登録等は不要です(無方式主義)。

こうした「伝達」は様々な形態で行われていますが、条約の規定や諸外国の著作権法では、多くの場合「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」の三者が、著作隣接権を持つ主体とされています。しかし、日本の著作権法はこれよりも保護が厚く、「有線放送事業者」にも著作隣接権を付与しています。