あなたと楽団との間で著作隣接権の譲渡契約が結ばれている場合を除き、基本的には演奏者(実演家)であるあなたが著作隣接権を持ちます。
著作物と異なり、実演に関しては、著作権法上、法人等の使用者が実演家になることはなく、楽団に雇われて実演を行なったとしても、実演家の著作隣接権が、当然に雇い主のものにはなることはありません。しかし、楽団のように、一定のメンバーが一緒に一つの演奏を行なうのが通常の場合は、雇用契約や就業規則等で著作隣接権を楽団に譲渡したり、楽団にその行使を委ねていることもあると考えられ、その場合は、その契約等に従って権利の帰属を考える必要があります。
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用語の説明
- 実演家
- 実演を行った者(俳優、舞踊家、歌手など)、実演を指揮した者又は実演を演出した者をいいます(第2条第1項第4号)。
- 著作隣接権
- 著作物等を「伝達する者」(実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者)に付与される権利です。著作隣接権は、実演等を行った時点で「自動的」に付与されるので、登録等は不要です(無方式主義)。
こうした「伝達」は様々な形態で行われていますが、条約の規定や諸外国の著作権法では、多くの場合「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」の三者が、著作隣接権を持つ主体とされています。しかし、日本の著作権法はこれよりも保護が厚く、「有線放送事業者」にも著作隣接権を付与しています。 - 著作隣接権の譲渡
- 著作隣接権は、財産権であり、著作権と同様に、全部又は一部の権利譲渡が可能となっています(第103条)。