論文の要約や抄録を作成するのは、著作物の翻案に該当するのですか。
論文の著作権 | 関連用語: 二次的著作物の創作権 翻案権
論文の要約を作成するのは、一般に著作物の翻案に該当すると考えられます。また抄録については、抄録の作り方によっては翻案に該当する場合があると考えられます。
著作権法上、著作物の翻案とは、二次的著作物を創作する行為の一つであり、要約のように著作物の内容が概括的に理解できるものは一般的に翻案に該当すると考えられています。また、抄録については、抄録の作り方によって様々な程度のものがあるので一概には言えませんが、図書館等の関係者の間では、抄録を、文献の存在についての指示を与えるだけで、内容の把握には本文を必要とする指示的抄録と、内容をある程度概括した報知的抄録の2種類に分け、前者は一般に二次的著作物に該当せず、後者の中には二次的著作物に該当するものもあるとの分類をする考え方があるようです(著作権審議会第4小委員会報告書、S51)。なお、翻案に該当することになれば、論文の著作者(著作権者)の二次的著作物の創作権が働くことになりますので、原則として著作権者の了解なしに論文の要約等はできないことになります(第27条)。
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用語の説明
- 二次的著作物の創作権
- ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。このように二次的著作物を創作する権利のことを、二次的著作物の創作権(第27条)といい、原作の著作権者の了解がないと二次的著作物は作れないことになっています。なお、この権利は、翻訳権、編曲権、変形権(例えば平面的な著作物を立体的な著作物にすること)、翻案権(脚色化、映画化等)からなっています。
- 翻案権
- 二次的著作物の創作権(第27条)の一つです。著作物に創作性を加えて別の著作物を作成する権利のことをいい、原作を脚本にしたり(脚色化)、映画にしたり(映画化)、文書を要約したりする場合に働く権利です。