著作者人格権と著作権の侵害になります。
日記は通常著作物であり、あなたはその著作者ですから、日記を書いた時点で、あなたに著作者人格権と著作権が自動的に発生しています。あなたの日記の内容を、勝手にクラスの仲間に知らせたことは、著作者人格権の中の「公表権」(第18条)の侵害になります。また、日記を勝手にコピーし配ったことは、著作権の中の「複製権」(第21条)及び譲渡権(第26条の2)の侵害になります。
関連する質問
用語の説明
- 公表権
- 著作者人格権の一つで、まだ公表されていない自分の著作物について、それを「公表するかしないかを決定できる権利」(無断で公表されない権利)です(第18条)。 ただし、「未公表の著作物」の「著作権 (財産権)」を譲渡した場合や、「美術の著作物の原作品」や「写真の著作物で未公表のものの原作品」を譲渡した場合などには、著作物の公表に同意したものと推定されます。
- 譲渡権
- 著作物、実演又はレコードを公衆(不特定又は特定多数)向けに譲渡することに関する権利です(第26条の2、第95条の2、第97条の2)。
この権利が設けられたのは、主として、無断で海賊版を大量に作った侵害者が、これを全部第三者に一括して転売してしまった場合に、その第三者(海賊版作成者ではない)による販売を差し止められるようにするためです。したがって、次のような限定がかけられています。
第一に、国内又は国外を問わずいったん適法に譲渡されたものについては、権利がなくなります。例えば、店頭で売られている本やCDを買った場合、この権利は既に消滅していますので、転売は自由です。
第二に、この権利が働くのは公衆向けに譲渡する場合のみですので、「特定少数の人」へのプレゼントのような場合には、この権利は働きません。
第三に、「例外的に無断で複製できる場合」で、公衆への譲渡が当然想定されているような場合(例:教員による教材のコピー)には、譲渡についても例外とされ、無断でできることとされています。 - 著作物
- 「著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は、著作権法では、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています(第2条第1項第1号)。
具体的にどのようなものが著作物であるのかは、第10条に例示されています。
しかし、これらはあくまでも例示であって、著作物はこれだけに限りません。先に述べた定義にあてはまるもの、すなわち、以下の条件をすべて満たすものは、表に掲げられていないものであっても、著作物に該当することになります。定義の解釈は次のとおりです。
(a)「思想又は感情」を
(b)「創作的」に
(c)「表現したもの」であって、
(d)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの
(a)の条件によって、「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」など(人の思想や感情を伴わないもの)が著作物から除かれます。
(b)の条件によって、他人の作品の「模倣品」など(創作が加わっていないもの)が著作物から除かれます。また、「ありふれたもの」(誰が表現しても同じようなものになるもの)も創作性があるとはいえません。
(c)の条件によって、「アイディア」など(表現されていないもの)が著作物から除かれます(ただし、アイディアを解説した「文章」は表現されているため著作物になり得ます)。
(d)の条件によって、「工業製品」などが、著作物から除かれます。
(注) 「特許権」は「アイディア」を保護し、「著作権」は「表現」を保護しています。このため、例えば、ある「薬」の製法について特許権が付与されている場合、1) その製法に従って、その薬を「製造・販売」すること(アイディアの利用)は、特許権の侵害となり、2) その製法を書いた「論文をコピー」すること(表現の利用)は、「著作権」の侵害になります。 - 同一性保持権
- 自分の著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で「改変」(変更・切除等)されない権利です(第20条)。
ただし、著作物の性質やその利用の目的・態様に照らしてやむを得ないと認められる場合は除かれます。例えば、印刷機の性能の問題で色がうまく出ないとか、「歌手の歌が下手」などという場合が、これに当たります。 - 複製権
- 手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。
なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。
また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。 - 無方式主義
- 権利の享有に際し、登録、作品の納入(納本)、権利の表示といった、いかなる方式も必要としないという原則のことです。