Q.

自分の子供や子供の友達数人に本を読み聞かせるのは、著作物の公の口述に該当するのですか。

 文章の著作権  | 関連用語: 公衆 口述 口述権

A.

著作物の公の口述には該当しません。

著作権法上、公の口述とは、公衆(不特定又は特定多数)に直接聞かせるために、朗読等の方法によって著作物を伝達することを言います(第2条第1項第18号、第2条第5項、第24条)。このことから、自分の子供や子供の友達数人に読み聞かせるのは、特定少数者に対する口述として著作物の公の口述にはなりません。

用語の説明

公衆
著作権法での「公衆」とは、「不特定の人」又は「特定多数の人」を意味します(第2条第5項)。

相手が「ひとりの人」であっても、「誰でも対象となる」ような場合は、「不特定の人」に当たりますので、公衆向けになります。例えば、「上映」について言うと、1人しか入れない電話ボックス程度の大きさの箱の中でビデオを上映している場合、「1回に入れるのは1人だが、順番を待って100円払えば誰でも入れる」というときは「公衆向けに上映した」ことになります。 また、「送信」について言えば、ファックス送信などの場合、1回の送信は「1人向け」ですが、「申込みがあれば『誰にでも』送信する」というサービスを行うと「公衆向けに送信した」ことになります(これを自動的に行っているのがサーバーなどの自動公衆送信装置)。

さらに、1つしかない複製物を「譲渡」「貸与」するような場合、「特定の1人」に対して、「あなたに見て(聞いて)欲しいのです」と言って渡す場合は「公衆」向けとはなりませんが、「誰か欲しい人はいませんか?」と言って希望した人に渡した場合は、「不特定の人」=「公衆」向けということになります。

「特定多数の人」を「公衆」に含めているのは、「会員のみが対象なので、不特定の人向けではない」という脱法行為を防ぐためです。何人以上が「多数」かは著作物の種類や利用態様によって異なり、一概に何人とはいえません。

「不特定」でも「特定多数」でもない人は「特定少数の人」ですが、例えば「電話で話しているときに歌を歌う」とか「子どもたちが両親の前で劇をする」といった場合がこれに当たり、こうした場合には著作権は働きません。
口述
朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達することをいい(第2条第1項第18号)、例えば朗読会や講演会における読み手や講師の口述が該当します。ただし、実演に該当するものは含まれませんので、例えば演劇に出演中の俳優が脚本の台詞を言うのは口述には該当しないことになります。
口述権
「言語の著作物」を、朗読などの方法により口頭で公衆に伝達することに関する権利です(第24条)。「口述」には、CDなどに録音された著作物を再生することや、著作物の口述を離れた場所にあるスピーカー等に送信して伝達することも含まれます。