Q.

私は、ある出版社の依頼を受けて座談会に参加しましたが、座談会の著作権は私にあるのでしょうか。

 演劇の著作権  | 関連用語: 共同著作物 共同著作物の著作者人格権の行使 共有著作権の行使 著作権の譲渡

A.

一般に著作権は座談会の出席者全員が共有していると考えられています。

座談会の出席者の発言は、出席者どうしのやりとりの中から生まれるものですから、一般に出席者全員による共同著作物になると考えられています。共有著作権の行使等については、特例が定められていますので注意が必要です(第64条、第65条)。

なお、座談会に参加する契約で、著作権を出版社に譲渡することとしていた場合は、出版社が著作権者となります。

用語の説明

共同著作物
二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与分を分離して個別に利用できないものを「共同著作物」と呼びます(第2条第1項第12号)。具体的には、誰がどこを分担すると決めずに共同で書いた場合など、それぞれの人が書いた(創作した)部分を明確に区別できない場合のことです。ただし、第1章は誰、第2章は誰と分担するところを定めて書いた場合はこれに当てはまりません。

共同著作物の場合は、原則として、全員の合意によりその権利を行使することとされています(第65条第2項)。なお、この場合、当該著作権を代表して行使する者を定めることができます。また、著作権の保護期間は、最後に死亡した著作者の死亡時から起算されます(第51条第2項)。
共同著作物の著作者人格権の行使
共同著作物の著作者人格権は、各著作者は信義に反してその合意の成立を妨げることはできないものの、基本的にはその著作者全員の合意がなければ行使することができません(第64条)。なお、この場合、著作者の中から代表者を選出し、著作者人格権を代表して行使させることができます。
共有著作権の行使
共著などの共同著作物の作者や著作権の法定相続が行われたときの遺族等は、複数の者が一つの著作権を共有していることになります。共有にかかる著作権は、権利行使の一体性の確保等を勘案し、持分の譲渡や質権の設定に関し他の共有者の同意がいること、共有者全員の合意がなければ行使することができないことになっています(第65条)。また、共有著作権の各共有者は、正当な理由がない限り、行使の同意を拒んだり、合意の成立を妨げることはできません。なお、共同著作物の著作者人格権の行使と同様に共有著作権についても、各共有者の中から代表者を選出し、著作権を代表して行使させることができます。
著作権の譲渡
著作者の権利のうち、著作者人格権以外の著作権(財産権)は、契約によって他人に譲り渡すことができます(第61条)。

また、著作権は分割して譲渡することもできます。例えば、複製権などの支分権ごとの譲渡、期間を限定した譲渡、地域を限定した譲渡(米国における著作権)などの方法が考えられます。
なお、全ての著作権を譲り受けたいときは、「全ての著作権を譲渡する」と規定するだけでは不十分です。著作権法では譲渡人の保護規定があり(第61条第2項)、単に著作権を譲渡すると契約しただけでは、二次的著作物の創作権(第27条)及び二次的著作物の利用権(第28条)の権利は権利者に留保されたものと推定されるからです。したがって、著作権を完全に譲り受けるためには、「全ての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」などの文言で契約する必要があります。

また、「ポスター」や広報用の「ビデオ」などの製作を「外注」した場合、著作者となって著作権を持つのは「受注者」となりますので、「発注者」が納品された著作物を自由に利用したいのであれば、発注の時点で「全ての著作権(第27条及び第28条を含む)を発注者に譲渡する」といった契約をしておくことが必要です。