一般に作家の名前を付して売り出されたり展示されたりしている一品制作の作品は著作物として著作権法の保護があると考えられますが、それ以外のスーパーや百貨店等のお店で売られているような焼き物は著作物ではないと考えられます。
著作権法では、「この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。」との定義規定があります(第2条第2項)。現行の著作権法では、絵画や彫刻のような観賞用の美術作品は保護するが、鑑賞用でない実用品(そのひな型を含む)は意匠法による保護に委ね著作権法では保護しないという基本的考え方を持ちつつ、実用品であっても一品制作の美的創作性を備えた工芸品であれば例外的に美術の著作物として著作権法の保護を認めるという体系になっております。したがって、茶碗、壺、お皿などの焼き物についても同様の取扱いになっているのですが、判例では大量生産される人形や、Tシャツのデザインが著作権法の保護を認められるなどある程度定義規定の解釈を柔軟に行おうとする傾向にあるようです。したがって、冒頭の回答以外の焼き物でも著作権法の適用が認められる場合があると考えられますが、その具体的な範囲は明確でなく、今後の判例の蓄積を待つ必要があると考えます。
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用語の説明
- 応用美術の保護
- 応用美術という用語は、一般に[1]装具品や壁掛け、壷のような実用品として製作される美術作品、[2]家具に施された彫刻等実用品と結合している美的な創作物、[3]染織図案等量産される実用品の模様やひな型として利用するための美術的な創作物、を指すものとして用いられています。応用美術も美的な創作物であるという点では、絵画や彫刻などの純粋美術と変わりありませんが、著作権法では、美術の著作物には、「美術工芸品を含むものとする」との規定を置き、応用美術のうち美術工芸品(壺、茶碗、刀剣等の観賞用の一品制作品)が保護の対象になることを明らかにしています(第2条第2項)。したがって、応用美術については、必ずしも著作権法による保護の範囲は明確ではありませんが、最近の判例では、美術工芸品に限らず、鑑賞的色彩の強いものについて、著作権法上の保護を認める傾向にあります。
- 美術の著作物
- 絵画、版画、彫刻、書、漫画、劇画などを総じて美術の著作物といい、著作権法では、著作物の例示の一つに挙げられています(第10条第1項)。なお、著作権法では、美術の著作物は、美術工芸品を含むものとすると定義しています(第2条第2項)。これは、美的作品は、絵画、彫刻等の鑑賞用の作品(純粋美術)と、染色図案や工業デザイン等の実用品又はそのひな形(応用美術)に分けられることから、著作権法では、応用美術のうち美術工芸品(壺、茶碗、お皿、刀剣など)が保護の対象になることを明らかにしたもので、応用美術については、必ずしも著作権法による保護の範囲は明確ではありません。しかし、判例では、例えば大量生産されたおみやげ品やTシャツのデザインなど、著作権保護を肯定した事例などもあり、美術工芸品に限らず、鑑賞的色彩の強いものであれば美術の著作物に該当するとする例が多くなっております。