Q.

調査票は著作物ですか。また、その中の個々の質問文はどうですか。

 文章の著作権  | 関連用語: 著作物

A.

一概に調査表と言っても、調査目的によって、短いものもあれば長いものもあり、また、表を中心とするものもあれば文章を中心とするものもありますので、著作物性を一律に判断することはできませんが、どのような質問項目にするか、どのような順で質問するか、調査票のレイアウトをどうするかなどに作成者の創意工夫があり、著作物と考えられるものも多いと思われます。

なお、調査票の中のなかの個々の質問文は、短い質問で誰が書いても同じような表現になるものは著作物とはなりませんが、ある程度の長さがあり、作成者の考えや気持ちが表現されているようなものであれば著作物になり得ると考えられます。

関連する質問

図書館のコピーサービスにおいて、企業等の営利団体の社員からの求めに応じ、サービスを行うのは問題ありますか。
図書館は、破損等のおそれがある貴重図書や調査研究を目的としているとは通常考えられない美術全集、写真集、地図帳等の複写サービスの求めを断ることはできますか。
私はあるシンクタンクの調査員ですが、ある会社から委託された調査研究の報告書をほとんど一人で作成しました。この報告書の著作権は私にあるのでしょうか。
試験問題は著作物ですか。
大学図書館は、学内の教職員や学生に限定して、発行された雑誌の記事や論文をデータベースに蓄積し、利用者の求めに応じて、その調査研究のためにネットワークで送信することは認められますか。
会社の仕事である調査報告書を作成しましたが、会社の都合で当該報告書は公表されないことになりました。この報告書の著作者は誰で、著作権は誰のものですか。
大学の付属図書館ですが、著名な学者の遺族から資料の寄贈を受けました。その中にその学者の未公表原稿もあるのですが、調査研究の目的であれば、図書館利用者の求めに応じて、その原稿をコピーしてもよいのですか。
最近の映画ソフトはコピーガードがかかって複製できなくなっているので、このコピーガードを無効にし、コピーできる機器を製造・販売したいと考えているのですが、著作権の問題はありますか。
図書館は、辞典の一項目を、利用者の求めに応じて複写することはできますか。
アンケート調査や新製品の案内状が送れるように顧客情報を整理したデータベースは著作物ですか。

用語の説明

著作物
「著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は、著作権法では、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています(第2条第1項第1号)。

具体的にどのようなものが著作物であるのかは、第10条に例示されています。

しかし、これらはあくまでも例示であって、著作物はこれだけに限りません。先に述べた定義にあてはまるもの、すなわち、以下の条件をすべて満たすものは、表に掲げられていないものであっても、著作物に該当することになります。定義の解釈は次のとおりです。

(a)「思想又は感情」を
(b)「創作的」に
(c)「表現したもの」であって、
(d)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの

(a)の条件によって、「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」など(人の思想や感情を伴わないもの)が著作物から除かれます。

(b)の条件によって、他人の作品の「模倣品」など(創作が加わっていないもの)が著作物から除かれます。また、「ありふれたもの」(誰が表現しても同じようなものになるもの)も創作性があるとはいえません。

(c)の条件によって、「アイディア」など(表現されていないもの)が著作物から除かれます(ただし、アイディアを解説した「文章」は表現されているため著作物になり得ます)。

(d)の条件によって、「工業製品」などが、著作物から除かれます。

(注) 「特許権」は「アイディア」を保護し、「著作権」は「表現」を保護しています。このため、例えば、ある「薬」の製法について特許権が付与されている場合、1) その製法に従って、その薬を「製造・販売」すること(アイディアの利用)は、特許権の侵害となり、2) その製法を書いた「論文をコピー」すること(表現の利用)は、「著作権」の侵害になります。