Q.

お店のTVで放送番組を店内のお客さんに見せていますが、著作権の問題はありますか。

 映像の著作権  | 関連用語: 営利を目的としない上演等(1) 公の伝達

A.

一般的に著作権の問題はありません。

著作権法上、著作権者は、著作権の一つである伝達権を有していますので、著作権者の了解なしに、放送・有線放送等の公衆送信される著作物を受信装置を使って公に伝えることができないことになっています(第23条第2項)。例えば、ビルの側壁等に設置された大画面の装置で放送番組を流すことがこれに該当します。しかし、放送又は有線放送される著作物を一般向けのテレビやラジオで受信してお客さん等に見せる場合は、それが営利目的で使われているとしても、著作権者の了解は必要ないことになっています(第38条第3項)。

用語の説明

営利を目的としない上演等(1)
著作権の制限規定の一つです(第38条)。複製以外の方法により著作物を利用する場合において、著作権者の了解が必要ないときの要件を定めています。著作物の利用方法に応じ次のような要件が満たされた場合は、著作権者の了解は必要ありません。

1 学校の学芸会、市民グループの発表会、公民館・図書館等での上映会など(第38条第1項)
【条件】
ア 「上演」「演奏」「口述」「上映」のいずれかであること(「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれない)
イ 既に公表されている著作物であること
ウ 営利を目的としていないこと
エ 聴衆・観衆から料金等を受けないこと
オ 出演者等に報酬が支払われないこと
カ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)

2 「非営利・無料」の場合の「放送番組の有線放送」(第38条第2項)
「難視聴解消」や「共用アンテナからマンション内への配信」など、放送を受信して同時に有線放送する場合の例外です。
【条件】
ア 営利を目的としていないこと
イ 聴衆・観衆から料金を受けないこと
公の伝達
公衆送信された著作物を、テレビなどの受信装置を使って公衆(不特定又は特定多数)向けに伝達する(公衆に見せたり聞かせたりする)ことです。なお、例えば、テレビ受信装置を使って映画のDVDを公衆に見せるような場合は、公衆送信された著作物の再生ではないので、外形的には同じ行為のように見えますが、著作権法上は、公の伝達ではなく、著作物の公の上映に該当することになります(第2条第7項)。