Q.

ある企業ですが、市販の文書作成ソフトを一部購入し、企業内の100台のパソコンにソフトをインストールし使っていますが、著作権の問題はあるでしょうか。

 プログラムの著作権  | 関連用語: 私的使用のための複製 複製 複製権

A.

ソフトメーカ(著作権者)の了解がないのであれば、著作権侵害です。

文書作成ソフトはプログラムの著作物であり、パソコンへのインストールは著作物の複製行為です(第2条第1項第15号)。また、企業や団体内で業務のために著作物を複製する場合は、例え個々の従業員が自分で使うために複製を行っていたとしても、私的使用のための複製には該当せず、著作権者の了解が必要です(第30条)。市販のソフトは、通常購入した本人又は家族等の利用を前提としおり、質問の場合は、ソフトメーカ(著作権者)の了解の範囲を超えた利用と考えられます。

関連する質問

市販のコンピュータソフトを一本買ってきて、職員室ある十数台のパソコンにソフトをインストールしてもいいですか。
高等学校の情報教育担当の教師ですが、予算の関係があるので、教育ソフトを1部購入して、パソコン教室の30台のパソコンに当該ソフトをインストールしようと考えているのですが、著作権の問題はありますか。
ある企業ですが、正規で購入すると非常に高価なコンピュータソフトの海賊版を密かに手に入れました。このソフトを会社のコンピュータで使用しているのですが、何か著作権の問題はありますか。
夏休みの図書館活動の一環で、子供たちを集めて市販のアニメ映画ソフトの上映会を行おうと考えているのですが、著作権の問題はありますか。貸しビデオ店から借りてきたソフトを用いて行う場合はどうですか。
ある情報提供企業ですが、関係の企業と契約して、当該企業に関係ある新聞記事を毎日コピーして配信したいと考えていますが、著作権の問題はありますか。
私はある公立の老人福祉施設で勤務していますが、入所者のために市販の映画ソフトを使って映画上映会を行いたいと考えていますが、著作権の問題はありますか。貸しビデオ店から借りてきたソフトを用いて行う場合はどうですか。
大学の研究室のパソコンを使い学生か職員かが、ファイル交換ソフトを用いてソフトや音楽を発信していることが分かりました。これについて著作権の問題はありますか。
生徒にホームページ制作を行わせる授業で、そのページの画面に百科事典ソフトの文章や写真を載せようとする場合、著作権者の問題はありますか。
コピーガードが施されているソフトを持っていくと、特別な機器を使ってダビングしてくれる業者がいるのですが、この業者は罪に問われないのですか。
私の書いた小説が無断で映画にされてしまいました。これは著作権侵害ですか。

用語の説明

私的使用のための複製
著作権の制限規定の一つです(第30条)。

「テレビ番組を録画しておいて後日自分で見る場合」などのように、「家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用することを目的として、使用する本人が複製する場合」の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたりプリントアウトしたりすること(いずれも「複製」に該当する)にも、この例外は適用されます。また、学校の児童生徒などが本人の「学習」のために行う複製(コンピュータ、インターネット等の利用を含む)も、この例外の対象です。
【条件】
ア 家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用すること
イ 使用する本人が複製すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
ウ 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は、コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
エ コピーガードを解除して(又は解除されていることを知りつつ)複製するものでないこと
オ 著作権を侵害したインターネット配信と知りながら、音楽や映像をダウンロードするものでないこと

なお、政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器・媒体を用いてコピー(複製)する場合には、著作権者に「補償金」を支払う必要がありますが、これらの機器・媒体については、販売価格に「補償金」があらかじめ上乗せされていますので、利用者が改めて「補償金」を支払う必要はありません。
複製
印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することを言います(第2条第1項第15号)。また、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含みます。

[1]脚本その他これに類する演劇用の著作物・・・当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
[2]建築の著作物・・・建築に関する図面に従って建築物を完成すること。
複製権
手書き、印刷、写真撮影、複写、録音、録画、パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など、どのような方法であれ、著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で、すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

なお、脚本等の演劇用の著作物の場合は、それが上演・放送されたものを録音・録画することも、複製に当たります。

また、建築の著作物に関しては、その「図面」に従って建築物を作ることも、複製に当たります (建築に関する図面自体は、「図形の著作物」として保護されます)。