Q.

生徒にホームページ制作を行わせる授業で、そのページの画面に百科事典ソフトの文章や写真を載せようとする場合、著作権者の問題はありますか。

 絵の著作権  | 関連用語: 学校その他の教育機関による複製等 公衆送信 公衆送信権 送信可能化

A.

パソコンへの蓄積にとどまっていて、ネットに接続しない限りは、学校における授業の過程で必要とする生徒の複製として、著作権者の了解は必要ないと考えられます(第35条)。しかし、、制作したホームページを実際にネットワークに接続し、公衆送信が可能になる状況にするのは、著作権者の公衆送信権(第23条)を侵害することになるので、その場合は著作権者の了解を得ないといけません。

関連する質問

学校で、授業に関係のある様々なホームページの中からわかりやすいページを教師がプリントして印刷し、授業の中で児童・生徒に配布しようとする場合、著作権の問題がありますか。
学校の教師ですが、担任している授業で新聞の社説を複写して生徒に配りたいのですが、著作権の問題はありますか。
授業で使用するプリントとして先生が新聞記事、論文、統計資料等を印刷して生徒に配布する場合、著作権の問題がありますか。
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百科事典の著作権は誰がもっているのですか。
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アニメのキャラクターを使った児童の図工作品を展覧会に出品するとき、著作権の問題はありますか。

用語の説明

学校その他の教育機関による複製等
著作権の制限規定の一つです(第35条第1項)。学校・公民館などで教員等や授業を受ける者(学習者)が教材作成などを行うために複製する場合の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたり、プリントアウト・コピーして教員等が教材作成を行ったり、学習者が教材としてコピーしたものを他の学習者に配布して使うような場合にも、この例外は適用されます。

【条件】
ア 営利を目的とする教育機関でないこと
イ 授業等を担当する教員等やその授業等を受ける学習者自身が複製すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
ウ 授業の中でその複製物を使用すること
エ 必要な限度内の部数であること
オ 既に公表されている著作物であること
カ その著作物の種類や用途などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないこと(ソフトウェアやドリルなど、個々の学習者が購入することを想定して販売されているものをコピーする場合等は対象外)
キ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)
公衆送信
公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいいます(第2条第1項第7の2号)。公衆送信は、その利用形態によって、放送や有線放送のように同一の内容を同時に公衆へ送信する形態のもの(第2条第1項第8号、第2条第1項第9号の2)と、インターネット送信のように利用者のリクエストに応じて送信する形態の2つに大別されます。また後者は、更にホームページに掲載された情報が利用者の求めに応じ送信されるように送信行為が自動的に行われるものを「自動公衆送信」(第2条第1項第9の4号)と呼び、ファックス送信のように利用者の求めに応じ手動で送信する場合と区別しています。これは、自動公衆送信については、ホームページに情報を掲載している状態すなわち利用者の求めがあればいつでも送信できる状態に置くことを「送信可能化」(第2条第1項第9の5号)の状態とし公衆送信の概念に含めているからです。したがって、権利者側から見れば、自分の著作物がホームページに掲載されている状態をもって公衆送信権(第23条第1項)侵害を主張できるため、送信行為があったことの立証負担が軽減されることになります。

なお、同一の建物内や敷地内で有線LANもしくは無線LANを用いて送信する行為は、コンサート会場でのマイク設備を用いて行う送信等とのバランスを考慮し、プログラムの著作物を除き公衆送信には該当せず、例えば音楽の演奏、脚本の上演、映画の上映、本の口述に該当することになっています。
公衆送信権
公衆送信権は、著作物を公衆向けに「送信」することに関する権利(第23条)であり、公衆向けであれば、無線・有線を問わず、あらゆる送信形態が対象となります。具体的には、次のような場合が含まれます。

(a) テレビ、ラジオなどの「放送」や「有線放送」
(著作物が、常に受信者の手元まで送信されているような送信形態)
(b) インターネットなどを通じた「自動公衆送信」
(受信者がアクセスした(選択した)著作物だけが、手元に送信されるような送信形態。受信者が選択した著作物を送信する装置(自動公衆送信装置=サーバーなど)の内部に著作物が蓄積される「ホームページ」のような場合と、蓄積されない「ウェブキャスト」などの場合がある)
(c) 電話などでの申込みを受けてその都度手動で送信すること
(ファックスやメールを用いるもの。サーバー等の機器によってこれを自動化したものが (b)の場合。)

上記(b)の場合、この権利は、サーバー等の「自動公衆送信装置」からの「送信」だけでなく、その前段階の行為である、「自動公衆送信装置」への「蓄積」(いわゆるアップロード)や「入力」(ウェブキャストなど蓄積を伴わない場合)などにも及びます。こうした行為により、蓄積・入力された著作物は、「受信者からのアクセス(選択)があり次第『送信』され得る」という状態に置かれるため、これらの行為は「送信可能化」と総称されています。

つまり、無断で「送信可能化」すると、まだ、受信者への送信が行われていなくても、権利侵害となるわけです。

なお、この公衆送信権は、学校内などの「同一の構内」においてのみ行われる「送信」は、プログラム以外は対象とはなりません。ただし、校内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を使う場合は、サーバー等に「コピー」ができますので、コピーすることについて著作権者の了解を得ることが必要となります。
送信可能化
サーバー等の「自動公衆送信装置」を利用して情報を、公衆からのアクセスに応じて送信されるようにするため、ネットワークに接続されている「自動公衆送信装置」に情報を「蓄積」(いわゆるアップロード)・「入力」(ウェブキャストなど蓄積を伴わない場合)等することや、既に情報が「蓄積」・「入力」等されている「自動公衆送信装置」をネットワークに接続することをいいます(第2条第1項第9の5号)。このような行為により、「蓄積」・「入力」された著作物は、「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」という状態に置かれるため、著作権法では、これらの行為を「送信可能化」と定義しています。