Q.

あるアーティストの貴重な映像ソフトを友人から借りて個人で使うためにコピーさせてもらったのですが、ある中古屋さんから高値で買うのでそのコピーを売ってくれと言われています。コピーを売ったとしても、著作権の問題は生じないのですか。

 映像の著作権  | 関連用語: 私的使用のための複製 複製 複製物の目的外使用

A.

私的使用の目的でコピーした映像ソフトの目的外使用となりますので、改めて権利者の了解が必要です。

権利者の了解なしに著作物を複製することを認めた「私的使用のための複製」は、その複製物を個人的に使用することを条件としています(第30条)。質問の場合のように、その複製物を他人に販売することは、売った時点で他人に売るために複製をしたとみなされ、複製物の目的外使用として取り扱われます(第49条)。

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用語の説明

私的使用のための複製
著作権の制限規定の一つです(第30条)。

「テレビ番組を録画しておいて後日自分で見る場合」などのように、「家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用することを目的として、使用する本人が複製する場合」の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたりプリントアウトしたりすること(いずれも「複製」に該当する)にも、この例外は適用されます。また、学校の児童生徒などが本人の「学習」のために行う複製(コンピュータ、インターネット等の利用を含む)も、この例外の対象です。
【条件】
ア 家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用すること
イ 使用する本人が複製すること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
ウ 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は、コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
エ コピーガードを解除して(又は解除されていることを知りつつ)複製するものでないこと
オ 著作権を侵害したインターネット配信と知りながら、音楽や映像をダウンロードするものでないこと

なお、政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器・媒体を用いてコピー(複製)する場合には、著作権者に「補償金」を支払う必要がありますが、これらの機器・媒体については、販売価格に「補償金」があらかじめ上乗せされていますので、利用者が改めて「補償金」を支払う必要はありません。
複製
印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することを言います(第2条第1項第15号)。また、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含みます。

[1]脚本その他これに類する演劇用の著作物・・・当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
[2]建築の著作物・・・建築に関する図面に従って建築物を完成すること。
複製物の目的外使用
私的使用のための複製などの権利制限規定によって作成された著作物等の複製物は、それぞれの規定に定める使用目的のために作成されたものです。したがって、著作権法では、例えば、当初の目的・用途以外の目的等で用いるために、当該複製物を他人にあげたり貸したり、又は見せたり聴かせたりした場合は、その行為をした人が、その時点で複製をしたと見なして、複製物の作成について再評価をする仕組みにしています(第49条)。