著作権者である法人が解散した場合、著作権はどうなるのでしょうか。
財産権としての著作権は一般の財産と同じように扱われますので、法人が解散した場合に、例えばその残余財産が別の法人に譲渡されれば、譲渡を受けた法人に著作権が帰属します。ただし、著作権の帰属先がなく残余財産が国庫に帰属することとなるときは、著作権は消滅することとされています(第62条)。また、法人著作の場合は、当該法人が著作者人格権を有していますが、著作者人格権は法人の解散によって消滅します(第59条)。
関連する質問
用語の説明
- 相続人の不存在の場合等における著作権の消滅
- 相続人不存在等の場合のように相続財産の帰属先が存在しないときは、民法の定めによって、国に財産が帰属することになりますが、著作権については、国に権利を帰属させるより、社会の公有にしてその自由な利用に委ねるほうが文化の発展に寄与することとなるため、消滅させることになっています(第62条第1項)。
ただし、著作権が共有に係る場合、共有者の一人が相続人なくして死亡した場合には、民法第264条による同法第255条の準用によって、その著作権の持分は他の共有者に帰属することになるため消滅することはありません(法人の解散の場合についても同様)。
また、映画の著作権が消滅する場合には、その映画の原著作物である小説、シナリオ等の著作権もその映画の利用に関する限りにおいては消滅することとされています(第62条第2項)。 - 著作者人格権の一身専属性
- 「著作者人格権」は、著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利であり、創作者としての心情を守るためのものであることから、これを譲渡したり、相続したりすることはできないこととされています (第59条)。
- 法人著作
- 著作者になり得るのは、通常、実際の創作活動を行う自然人たる個人ですが、創作活動を行う個人以外が著作者となる場合が法律により定められています。例えば、新聞記者によって書かれた新聞記事や、公務員によって作成された各種の報告書などのように、会社や国の職員などによって著作物が創作された場合などは、その職員が著作者となるのではなく、会社や国が著作者となる場合があります(第15条)。
しかし、会社や国の職員などが創作した著作物のすべてについて、会社や国などが著作者になるわけではありません。
次に掲げる要件をすべて満たす場合に限り、会社や国などが著作者になります。(なお、プログラムの著作物については、公表されない場合も多いため、(d)の要件を満たす必要はありません。)
法人著作の要件
(a) その著作物をつくる「企画」を立てるのが法人 その他の「使用者」(例えば、国や会社など。 以下「法人等」という) であること
(b) 法人等の「業務に従事する者」が創作すること
(c)「職務上」の行為として創作されること
(d)「公表」する場合に「法人等の名義」で公表されるものであること
(e)「契約や就業規則」に「職員を著作者とする」という定めがないこと