Q.

聴覚障害者等のために著作物等の利用ができる施設では、具体的にどのようなことが著作権者の許諾なくできますか。

 著作権の汎用的な質問  | 関連用語: 聴覚障害者等のための字幕等の作成・自動公衆送信が認められる者 聴覚障害者等のための字幕や手話付きの映画の作成・貸出しが認められる者

A.

映像に字幕や手話を付加するなど、聴覚障害者等が必要な方式により市販の映像やテレビ映像等を複製することができます。

また、作成した複製物を貸し出したり、インターネット送信することも可能です。

ただし、聴覚障害者等以外の者へのこれらの提供はできません。

なお、著作権者又はその許諾を受けた者等が自ら、障害者にとって必要な方式での著作物を提供している場合(既に字幕付き映像が市販されている場合など)には、この権利制限の適用をしないこととしています。これは、障害者の方への著作物の提供に当たっては、本来、権利者自らが障害者に対応した方式で著作物を提供するということが望ましいという考え方から、そうしたインセンティブを損なわないようにするためです。

(第37条の2第1項)

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用語の説明

聴覚障害者等のための字幕等の作成・自動公衆送信が認められる者
著作権の制限規定の一つです(第37条の2第1号)。 視聴覚障害者情報提供施設の設置者など聴覚障害者等の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令(令第2条の2)で定めるものは、専ら聴覚障害者等のために放送番組の音声内容を字幕化し、放送とは別にリアルタイムでコンピュータ・ネットワークを通じ提供すること(リアルタイム字幕)を、著作権者の了解なしに行うことができます。
聴覚障害者等のための字幕や手話付きの映画の作成・貸出しが認められる者
以下の施設を設置して聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う者が一般的に定められています。 (法第37条の2第2号、令第2条の2第1項第2号関係)
[1] 大学等に設置された図書館及びこれに類する施設
[2] 身体障害者福祉法第5条第1項の視聴覚障害者情報提供施設
[3] 図書館法第2条第1項の図書館
[4] 学校図書館法第2条の学校図書館

その他、以下の条件が付加されています。
・ [2]を設置する者については、非営利目的の法人に限定。
・ [3]については、司書又はこれに相当する職員として著作権法施行規則第1条の3で定める職員を置いている図書館に限定。また、その設置主体を地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人に限定。
・ 全てについて、法第37条の2第2号の規定の適用を受けて作成された複製物の貸出しを文部科学省令で定める基準に従って行う者に限定。

[1]~[4]の施設を設置する者のほか、聴覚障害者等のために情報を提供する事業を行う法人(法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。)のうち、「聴覚障害者等のための複製を的確かつ円滑に行うことができる技術的能力、経理的基礎その他の体制を有するものとして文化庁長官が指定するもの」が定められています。